キャッシュ比率の上昇が相対的なドル安定をもたらす!?

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 最近の取引レンジ内での値動きながら相対的なドルの安定地合いが続いている。
昨日発表された米経済指標では、6月の中古住宅販売が過去10ヶ月で8回目の前月比マイナスとなり、米住宅投資減速を再確認するものとなったが、予想されていたほどのペースではないとの安心感を与えたほか、7月の消費者信頼感指数がガソリン価格高や中東情勢が不透明な状況下で強い数字を示し、総じて米国経済に対する悲観論を後退させる内容となった。

 この日の指標は、本日以降に発表される指標と比べて重要度は低いものの、6月のFOMC議事録やバーナンキFRB議長の議会証言で示された「米国経済のソフトランディング・シナリオ」に沿った良好な内容であり、相対的なドル安定に寄与する格好となっている。

 アナリスト等によれば、この日の指標が8月の利上げ休止観測を後退させ、ドルを押し上げているとの解説になっている。
 確かに、市場の短期金利見通しを反映するFFレート先物市場では、8月の追加利上げ確率は56%まで上昇している。 しかし、ドル/円と利上げ期待値の相関性は、米6月雇用統計(07/07)までは高くパラレルに推移していたが、7月第2週以降はむしろ逆相関となっている。
つまり、利上げ期待が低下する局面でもドル/円は底堅く安定的に推移している。

 そもそも、バーナンキFRB議長の議会証言後に広がった利上げ休止観測は何を根拠としたものであったのか、議長は証言の初日に米経済の最大のリスクは何かと問われ「インフレーション」と即答している。

 そして、このインフレ圧力は総需要の増加が減速すれば、今後の数四半期で緩やかに低下すると明言している。 中間選挙を控え景気失速懸念に身構える議会にあっては、景気配慮の姿勢を前面に打ち出す必要があったかもしれないが、インフレ警戒姿勢を緩めたわけではなく、FFレート先物市場では9月以降の追加利上げの可能性を74%の確率で織り込んでいる。(⇒当面は利下げの選択肢がないということ)

 現在のマーケットを取り巻く環境は、昨年までの世界的なカネ余りと好景気という最良の状態から、グローバル・タイトニングと地政学的リスクという視界不良の状態に悪化している。
 米大手証券による最新のファンドマネジャー調査によれば、キャッシュをオーバーウェイトにしている機関投資家の比率は31%と、過去5年間では米同時テロ後に次ぐ2番目の高さとなっており、リスク回避の度合いが高水準にあることを示している。

 つまり、現状はリスクマネーが収縮する過程にあるといえ、グローバルな投資家にとってリスク資産に投資することなく5%超の利回りが確保できるドルは、待機資金の最良の受け皿になっているといえよう。

 こうした保守的な投資行動は、市場環境の変化に伴う先行き不透明感や不確実性が払拭されるまで続く可能性もあり、突発的な事象が発生しない限り既存取引レンジを中心とする比較的安定した値動きが想定されてこよう。

(7月26日 11:20記)


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