FEDの“インフレ警戒”継続で取引レンジは116円Mid-118円Highへ上方シフトも!?

画像

 世界同時金融引き締めと地政学的不確実性の増幅といった視界不良の市場環境のなかで、ドルが全面高の展開となっている。 

 米同時テロ(2001年9月)以降は、ブッシュ政権の先制攻撃の論理とともに「有事のドル売り」が定着しつつあったが、米国の一国主義的な強硬姿勢は国連安保理を舞台とする国際協調へと柔軟化し、「有事のドル買い」の地位を取り戻したかのようにもみえる。 
 事実、今週のドルは、伝統的に安全資産とされてきたスイスフランに対して5月初め以来の水準へ上昇している。

 グローバルな投資家がリスク回避志向を強める状況下、取引の主体は既存ポジションの「キャッシュ化」や「質への逃避」、そして「ホームバイアス」を正当化するが、こうした中で高金利通貨としての地位も取り戻したドルがアドバンテージを有している事実は否めない。 

 米短期金利の誘導目標となるFFレートが5.25%へ上昇したことにより、様々な取引を通じてドル買い需要を高めることになる。
 ・ インターバンク等の短期資金の米国への流入を促す
 ・ 米企業の資金調達コスト悪化により海外利益のリパトリ(=本国回帰)を促す
 ・ 多国籍企業が保有するキャッシュポジションの現地通貨からドルへのシフトを促す
 ・ 米投資家の対外投資における為替ヘッジ比率(=ドル買い)を高める
 ・ 海外投資家のドル債投資の為替ヘッジ比率(=ドル売り)の低下を促す
 ・ ヘッジファンドや投機筋のベース・ポジションのドルロング傾斜を促す

 こうした状況下、昨日発表された米6月PPI(生産者物価指数)が総合ベースで前月比+0.5%と事前予想の0.3%を上回ったことを受けて、追加利上げ観測が再燃している。
 前回6月のFOMC以降に発表された経済指標は、景気減速を示唆する指標が相次ぐ一方で、インフレ率の上昇を懸念させる指標が相次いでおり、FEDが声明で示したインフレ圧力の抑制は確認されていない。(⇒原油価格は6月のFOMC開催時を3㌦超も上回っている)

 このことは、本日最大の注目イベントであるバーナンキFRB議長の半期政策報告に関する証言が、引き続きインフレ警戒を示すタカ派的な内容とならざるを得ないことを示している。
市場はこうした動きを先取りする格好で金利先高観を強めており、FFレート先物市場のインプライド金利は8月FOMCの利上げ確率が70%へ上昇していることを示している。

 市場では、バーナンキFRB議長が今回の半期議会証言で「景気減速」と「インフレ懸念」のどちらに比重を置くかが注目点となっているが、FRB議長のインフレファイターとしての本気度が試される局面でもあり、来るべき利下げに向けて信認を回復することができるかどうかが真の焦点とすることができよう。

 何故なら、インフレファイターとしての確固たる信認が確立されていれば、景気配慮の利上げ休止、または利下げへの選択肢も広がるが、インフレに対して弱腰との見方が残存する限り、利上げ休止はインフレ懸念が再燃した場合に長期金利の急騰とドル急落リスクを高めることになりかねない。

 FRBは過去12回の引き締め局面のうち8回もリセッションを招いている。 2004年6月を起点とする累積利上げはすでに425bpにも達しており、利上げ行き過ぎによるリセッションやスタグフレーションのリスクは過去の引き締め局面よりも高められており、中間選挙突入前の今回の半期議会証言はバーナンキ議長にとってインフレ抑止の強い姿勢(信認確立)を示すラストチャンスとなりそうだ。

(7月19日 11:25記)


本日のマーケット・コメントの中で誤りがありましたので、以下のように訂正させていただきました。
・ 海外投資家のドル債投資の為替ヘッジ比率(=現地通貨売り)の低下を促す
   「現地通貨売り」を「ドル売り」に訂正しています。

(7月19日 13:00記)

"FEDの“インフレ警戒”継続で取引レンジは116円Mid-118円Highへ上方シフトも!?" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント