日替わり材料で揺れる「トレーディング相場」がなお続く!?

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 昨日のマーケットの主役は北朝鮮ミサイル発射で売られた「JPY」と、米雇用統計の上振れ観測から買い戻された「USD」であり、その挟間で売られたのがECB理事会を目前に控えた「EUR」という形になり、引き続き日替わり材料で揺れるトレーディング相場が続いている。
 「地政学的な緊張や不確実性は全ての材料に優先する」との相場格言に従い、手持ちポジションを縮小する動きが優先され、これに伴い市場流動性の低下も促された。

 EURUSDは、欧州序盤に06/06以来の高値となる1.2840㌦へ続伸する場面がみられたが、このあと発表されたユーロ圏6月サービス業PMI景気指数が6年ぶりの高水準を記録する強い内容となったにもかかわらず、持ち高調整の売りが断続的に持ち込まれ、NY序盤には1.2707㌦まで下落した。

 このNYタイムでは、米民間調査会社ADPによる全米雇用報告で6月の民間部門雇用者数が前月比+36.8万人と、2001年1月の調査開始以来で最大となったことが材料視され、今週末に米労働省が発表する6月雇用統計の上振れ観測につながっていった。

 ADPの雇用調査は、事業会社22万5000社(雇用者数1400万人)をサンプル抽出したもので、同社がまとめる月間雇用統計は労働省の雇用統計と90%の相関度があると、Bloomberg は伝えている。 特に市場が反応したのは、ADPレポート発表後に米有力投資銀行が6月の非農業部門雇用者の増加数を20~25万人に上方修正する動きが相次いだことであり、これを受けて米追加利上げ観測が再び盛り返す格好となっている。 米債券市場は全面安(金利は上昇)となり、10年債利回りは5.227%へ上昇、FFレート先物市場では8月の利上げ確率が先週末の68%から86%へ上昇している。

 しかし、今週明けに発表された6月のISM製造業景気指数を構成する「雇用」の項目は48.7と、前月の52.9から大幅低下しているうえ、業況判断の分岐点となる50を昨年5月以来はじめて下回っている。 市場ではすでに米6月雇用統計の20~25万人の伸びを想定し始めているため、実際の統計結果が同等の水準であった場合には材料出尽くしとなる可能性が高くなる一方、ISM景気指数が示す「雇用」の大幅低下や過去4週の米新規失業保険申請者件数の悪化を反映する形で10万人前後の伸びにとどまる場合は、ネガティブ・サプライズとなる可能性は念頭に置いておきたい。

 尚、本日最大の注目イベントはECB理事会であり、8月3日の理事会が電話会議方式で開催され、記者会見や声明発表もないことから、通常の理事会方式では本日の理事会が夏休み前では最後となる。

 先週はECB理事会メンバーからタカ派的な発言が相次ぎ、利上げ前倒しや利上げペース拡大観測が高められたが、肝心のトリシェ総裁はいっさい言及していないため、本日の理事会でのトリシェ総裁の会見はECBの意向を市場に伝えるうえで一段と重要度が増している。

 特にECBの金融政策決定は、「多数決制」を採用している他の主要中銀とは異なり、主席エコノミストのシュタルク理事(前独連銀副総裁)が開会直後に行う総括的な経済分析をベースとする「合意形成」の手法が採られており、早期かつ大幅な利上げニーズを主張する委員数の増加が必ずしも利上げの可能性に直結するわけではないことは念頭に置いておきたい。
(今朝、日経CNBCに電話出演した外銀の為替ストラテジストは、本日の理事会で25bpの利上げの可能性を想定していると語っていたが、それなりの根拠があっての判断と思われるため、念のためご注意を。)

 本日のトリシェ総裁の会見では、8月3日の利上げのサインとなる「警戒」“vigilance”が発せられるか、それとも「注意深く見守る」“monitor closely”となるのか、この点に注目していきたい。

 また、ECBが重視するユーロの実効為替レート「ECBインデックス」は、引き続き6月の高値を上回る水準を維持しており、ヒストリカル・ボラティリティーも06/09の3.14%をボトムにして5.24%まで上昇している。 ECBインデックスの最近の動きはEURUSDとは異なっており、一時的な相関性の低下であるのか、それともEURUSDの値動きが歪められているのか、引き続きこの点にも注目していきたい。

(7月6日 10:55記)

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この記事へのコメント

DDT
2006年07月06日 20:01
今晩は、森先生。
トレーディング相場ここに極まれりですね。
今晩はECB、明日はNFPと材料には事欠きません。
今晩のECBでもし、0.25pの利上げが有った場合と、明日のNFPで先月の流れを引きついで10万程度の数字か出た場合、金曜NY終値は・・・
猫の目のように変わるマーケット、疲れるのを覚悟で付き合うか?様子見を決め込むか?

北朝鮮の問題ですが、長引きますがマーケットが慣れてくる可能性も出てきました。
今回のミサイル落下地点を見ても解かりますが、彼等も日本には絶対落とせないと理解しているようです、日本に落ちた場合は即アメリカの空爆に繋がりますので。
現状、冷静に見てみれば、北は狂言自殺を演じているだけとも言えます。
彼等の目的が生き残りと見れば、暴走は無いと見ても良いのではないでしょうか?
もう一つの長期化の要因は落とし所が無いということです。
事が終わった後の北の面倒を誰が見るか?
ババ抜きですね。
以上のようなニュアンスで長期化すれど慣れが出てくる可能性が高いようです。
mori
2006年07月06日 20:13
こんばんわ DDTさん

北朝鮮問題は、仰るような見方で落ち着きそうですね。今も、NHKの「クローズアップ現代」で専門家による解説を聞いておりましたが、暴発リスクは少ないようですが、米国の対応があくまで六カ国協議に拘り続けると、エスカレートするリスクはありそうですね。

ところで、煮え切らないマーケットの方ですが、「トレーディング相場」と決め込めんでしまえば、上下のチャートポイントさえ抑えておけば、逆バリで10-30ポイント程度の値幅は簡単に抜けます。今日は夕方からGBPJPYでトレードを楽しませて頂きました。

但し、イベント前30分はポジションを持たないように注意する必要がありますが、明日の雇用統計までは一方向に動けないとみています。

伯久
2006年07月06日 20:33
先生、こんばんわ

10~30ポイント抜きの短期売買ですか。
5分足チャートを使われる訳がわかりました。
チャートを見るとなんとなく規則正しいレンジを形成しているのがわかります。
参考になりました。
mori
2006年07月06日 20:57
こんわんわ 伯久さん

常に10-30ポイント抜きを行っているわけではありませんよ。その日のマーケット・コンディションをみながら、超短期のストラテジーを決めているんです。

毎週末には、週足・日足均衡表やエリオット波動分析で中勢・大勢のトレンドや時間サイクルをチェックした上での超短期売買です。

それから、私の場合は50万通貨単位(=適正ポジション=躊躇なく損切りができる金額)での売買ですが、月間収益の上限を100万円と決めているため、売買回数は自ずと制限されてくるんです。

でも、毎日午前中はデータ入力作業やレポートの作成で時間がなく、1ヶ月の3分の2は連載原稿の作成やセミナーの資料作りで時間を裂かれてしまうため、無駄な売買をしなくてすみますからちょうどいいかもしれませんね。

結果的に、自分がイメージできる時だけトレードを楽しむということになります。
でも、自信を持って臨んだ売買で逆に行くと悔して、熱くなる時もあるんですが、そういう時は次につながるように必ず反省会をやっています。
伯久
2006年07月06日 21:43
先生、お忙しい中、ご丁寧に解説していただきありがとうございました。
少しずつ勉強していきたいと考えていますので、これからもよろしくお願い致します。
DDT
2006年07月06日 23:37
森先生、御返答ありがとうございました。
現在、ドル円は115円割れ、昨日からの上昇分を吐き出している形になっています。
明日の雇用統計によっては再度調整トレンド入りとなりそうです。

今回のテポドンショックで北東アジア地政学リスクがクローズアップされ、この要因が先行していくかと思われましたが、マーケットがこの状況に慣れ、ミサイルが打ち上げ花火程度に認知されていきますと、先生のシナリオ、不均衡の是正がマーケット主導要因として再度浮かび上がってくると見ています。
私も先生のシナリオを支持していますので、その流れを希望しています。

ところで、先生の株式のレポートはどちらで連載しているのでしょうか?
宜しければ御教授ください、お願いします。
mori
2006年07月07日 00:00
DDTさん、ありがとうございます。

株式新聞には今年1月から毎月連載しており、ちょうど明日の第2面(1,300字)に掲載されます。

大見出しが「二つの正常化、カネ余りの是正と不均衡の是正」、小見出しが「リスクマネーの行方」です。

よろしかったら読んでくださいね。
DDT
2006年07月07日 01:35
御教授ありがとうございます。
早速読んでみます。

私は、先月の安値14300円付近から15銘柄を買っていたのですが、今回のテポドンショックで昨日手仕舞いしてしまいました。
また、構築していかなければなりません(疲れ

先生の株式分析レポートを参考にさせて頂きたき、これからも為替・株式市場で戦って生き抜いていきたいと思っております。
これからも、為替・株ともどもお世話になっていきます、宜しくお願いします。

mori
2006年07月07日 06:54
おはようございます DDTさん

「株式新聞」への連載は株式の分析ではなく、為替の分析なんです。誤解を招く書き方ですみませんでした。

株のほうは「佐々木会」(佐々木英信氏が師匠)のメンバーとして色々と勉強させて頂きました。

また、佐々木会のメンバーが株式・債券・商品・為替に携わるファンドマネジャーやトレーダー、アナリスト、ストラテジストで構成されていたため、毎日メールやFAXで分析リポートが送られてきます。

各マーケットの動きやポイントは参考にさせて頂いており、私の為替の分析の根幹を成すものとなっています。
DDT
2006年07月07日 21:05
遅ればせながら、御返答ありがとうございます。
私の勘違いでしたね、でも先生の株式分析も読んでみたいです。

佐々木会から毎日の情報!「日刊 流転」ですか。
流石、先生ですね、人脈が凄いですね。

ドル円、順調に下落です。
20分後、更なる下落か?再度復調か?
楽しみなことです。
mori
2006年07月07日 21:18
こんばんわ DDTさん

「流転」ご存知でしたか。今週号は中長期見通しとなっていましたよ。
このほか、国内外の調査機関による各種レポートがたくさん送られてくるんですが、残念ながら全てを読むことはできません。
重要なレポートは印刷して移動時間などで読むようにしていますが。

ところで、今日は米雇用統計の前哨戦という格好で欧州序盤から人民元ネタで動いてくれましたが、さてメインの雇用統計はどうなるのでしょうか?

発表後はスプレッドが急拡大したり、レート表示が滞ったりする恐れがありますので、注意しなければなりませんね。

それでは幸運をお祈りしております。
DDT
2006年07月07日 22:08
ありがとうございます。
今晩の雇用統計は、私は悪い数字と決め込んでいましたので事前にドルショートを仕掛けておきました。
スプレットの拡大、レートの凍結には毎度まいりますが、相対のデメリットで致し方ないと思っています。

12万人、やはり予想通り15万すら届きませんでした。
今晩のダウ・ナスの動きによっては来週の日本株も面白いことになりそうです。

米国は株高、債権は大幅な変動が無ければ、ドル安は容認ですし、日本も株高円高の状態では介入しずらい状況ですね。

先生のシナリオへと状況は回帰しつつあると見ています。
mori
2006年07月07日 22:15
DDTさん、お見事でした。

米株式・債券は今日の雇用統計を好感するでしょうし、FEDのソフトランディング・シナリオにも沿っているはずですから、当局は緩やかなドル安であれば容認とみていますが。
来週は月曜にポールソン米財務長官の就任宣誓式がありますので、「強いドル政策」にいっさい言及していない同氏の発言に注目ですね。
m.m
2006年07月07日 22:42
こんばんは、いつもお世話になっております。

DDTさんおめでとうございます。
私も先のADP雇用指数にはいささか無理があるのではと見ていたのでシートベルトしつつの逆指値を張らせていただきました。

ただ雇用統計についてはややADPの数値に踊らされた感もあり、その他の指標を見るとそれほど悲観する内容ではなく、特に重要視される平均時給が上昇している点を考慮すると、ADPの織り込み分を吐き出してしまえばなおくすぶる地政学リスク、チャート上の分厚い雲と下値は自ずと限定されてくるかもしれませんね。

来週は早々ポールソン米財務長官の就任式がありますね。
先のコーンFRB副議長の質疑では強気な発言が相次ぎましたがこのマーケットの動きを見てポールソン米財務長官が果たしてどのような言葉を発せられるのか興味深いところです。

夜分遅く失礼いたしました。
mori
2006年07月07日 22:53
m.mさん、こんばんわ 

USDJPYの114円割れは日足均衡表の『雲の上限』でサポートされる格好となっていますね。
週足均衡表の『遅行線』が微妙なところで着地しそうですから、お楽しみは来週に持ち越しとなるかもしれませんね。

EURUSDも日足均衡表の『遅行線』が『日々線』に捕まっていますから、動意があるとすれば来週後半以降でしょうかね。

この週末にしっかりと分析しておきます。
m.m
2006年07月07日 23:08
お返事いつもありがとうございます。

来週にはいよいよ待ちに待ったイベントが控えていますからね。
とりあえず北が再度動き出さない限りどうやら解除は間違いないような情勢ですので、とりあえず政策的な材料は出尽くした感もあり、市場は整合性あるドル安にシフトしていくかもしれませんね。

しかし今森さんに言われて週足均衡表をチェックしてみたのですが、なるほど微妙な位置ですねw。
でも前回の雇用統計後と異なり、FEDメンバーから強いコメントが聞かれなければ日足、週足ともに下限、下抜けを見据えたチャート的にもドル安を容認する一つの流れが形成されるかもしれませんね。

来週のレポートも楽しみに待っております。
DDT
2006年07月07日 23:17
森先生、m.m氏、ありがとうございます。
113.90pで買い戻しました。
今晩は、もう一度と見ていましたが、ダウの死にかげんで少しブルーになっています。
雇用統計は悪いと決め付けて(笑)今晩の米株は上がる、よって月曜日の日経も上がると踏み
20銘柄ほど今日の終わりの急落の際買って持ち越してしまいました(涙
来週は天候により、テポドンショックのアクションは起こしたくても起こせないと踏み、来週の日経上昇を予測しておりましたので。

来週は月曜早々にイベントですね。
ポールソン新財務長官ですが、元大禿の親玉ですね(笑
確かに、第一声は大変興味深いですね。

>この週末にしっかりと分析しておきます。
いつも、ありがとうございます、でも、お体もご自愛ください。




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