ミサイル発射が孕む北朝鮮の暴発リスク!?

 昨日のUSDJPYは、米市場が独立記念日で休場となるなか、114円Midを中心とする保ち合い圏が形成されていたが、北朝鮮によるミサイル発射の報道を受けて次第に緊張感が高められ、早朝の取引では一時115.20円付近までドル高・円安が進展した。

 北朝鮮のミサイル発射(実験)に関する報道は6月第2週辺りから伝えられており、市場参加者にとっては想定内のリスクではあったが、重要な点は国際社会によるミサイル発射制止を無視して実行に移したことである。 

 今回の北朝鮮のミサイル発射は、「日朝平壌宣言」を破棄する行為であり、日本政府による非常事態を想定した危機管理能力が問われる重要局面と位置付けることもできるが、6カ国協議という対話の枠組みが崩壊寸前であるという状況下、事態収拾に向けた進展や目処を付けない限り、市場では地理的に近い日本の地政学的リスクとして燻り続けることになる。

 また、米国ではブッシュ大統領が「国際社会への挑戦」との認識を示し、「これにより、北朝鮮の孤立化がさらに進む」と述べており、今回のミサイル発射は一過性の問題にとどまるのではなく、北朝鮮の暴発リスクを一段と高めるきっかけになった可能性はリスクシナリオとして留意してきたい。

 マーケットは、たった一つの指標や発言、または突発的な事象により潮目が変わってしまうことは少なくない。 直近ではワシントンG7(04/21)後のドル安が、米コアインフレ率の上昇を引き金とするリスクアバージョンの動きにより米国への資金回帰が促され、FEDメンバーによる突然のタカ派発言がドル上昇に拍車を掛ける格好となったが、決してドル安の論拠とした前提(グローバル・インバランス)が崩れたわけではなく、マーケットは常にあらゆる事象を織り込んで変動し続けているということである。

 これが「価格変動リスク」となるが、マーケットにはほかにも「流動性リスク」、「信用リスク」、「システムリスク」など様々なリスクを内包していることを忘れてはならない。

 こうしたリスクを完全にゼロにする方法は無いものの、縮小することは可能であり、その一つがリスクを価格変動だけに特化する方法である。 つまり、トレード時間を短くすることで「価格変動」以外のリスクをできるだけ排除するという考え方であり、具体的には「デイ・トレード」という短期的な売買手法を示す。

 筆者はレポートやセミナー等を通じて、「今年は昨年までの『金利相場』とは異なり、『トレーディング相場』であるとの認識を持って臨みたい」と述べてきたが、今年は米中間選挙・FRB議長交代・世界的な金融引き締めなど、例年になく不確実性要因を抱える年であり、ボラティリティーが高まっているからにほかならない。 
 日替わりメニューで方向性を変えるマーケットを攻略するには、「デイ・トレード」のスキルアップが最も有効な手段であるといえよう。

 尚、現在(10:45)のUSDJPYは114.90円-95円まで軟化しており、北朝鮮のミサイル発射を受けた初動的な反応は一巡しているようにみえるが、本日の海外勢の反応は極めて重要であり、欧州勢参入時の動向は特に注視していきたい。

(7月5日 10:47記)

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この記事へのコメント

mori
2006年07月05日 14:41
早出の欧州勢はドル売りから参入のようです。

北朝鮮のミサイル発射問題は、安保理が非公式で緊急理事会召集を決定しましたので、日本だけのリスク要因という捉え方ではなくなっているかもしれません。
DDT
2006年07月05日 18:38
こんにちは、森先生。

これほどハッキリとした方向性(地政学リスク増大)にも拘らずドル円は60pほどの跳ねで終わっています。
現在も115.20pすら届いていません。
以前のテポドン騒動の時は2円近く跳ねた記憶があります。
前回のとの違いはあるにせよ、今回はテポ2以外にもノドン・スカッドと大放出だったのに関わらず、この状況。
株価も似たりで最大で150円程度の下落でした、LD騒動でも300円近く下落したことに
比べても下落が弱いですね。

いくら事前情報があったにせよ、このドル円、日本株の動き、悩ましすぎます~
mori
2006年07月05日 18:43
こんばんわ、DDTさん

本当に悩ましすぎます。
7発目のミサイルが日本海に着水したとのことで、また円が売られていますが、今回のミサイル発射問題は98年8月当時とは異なり、簡単に幕引きとはいかない感じですね。

海外勢は特に地政学的リスクに敏感ですから、この問題は軽視しない方がよいかもしれませんね。
DDT
2006年07月05日 19:46
御返答ありがとうございます、森先生。

簡単に幕引きとはいかない、と言うのは同意です。
これで、北朝鮮は核実験カードしか残っていないことになります。
核実験カードは即米空爆になりますので使えない訳ですから、事実上最後のカードを切ったことになりますね(昨年5月核実験を行うと臭わせた所、空母が3隻日本海に集結、後3隻太平洋上を日本海目指して進んできたことがありました)この後は安保理へ上げられる事になるのでしょうが、そうなった場合、「終わりの始まり」と言うことになるでしょうから、かなりハッキリした動きになってくるでしょうか。

アニマルに目立った反応は無いようです、やはりヤンキーの登場を待たなければならないようですね(地政学リスクに敏感なのはロンドン勢の上と見ていたのに不発です)

それにしても、よく解からない相場です。
mori
2006年07月05日 20:03
DDTさん、ありがとうございます。

軍事評論家の解説も、事実上の最後のカードと位置付けいるようですね。
米国によるマカオの銀行口座凍結による兵糧攻めが効いているとの見方もされており、瀬戸際外交が暴発リスクに転じる恐れも想定されますので、海外勢の対日投資スタンスにも変化が生じるかもしれません。

こうした状況下では、日銀も来週の金融政策決定会合でゼロ金利解除に踏み切れないかもしれませんね。

引き続き情報収集に注力します。
swingchart
2006年07月05日 22:38
いつも見させていただいています。最近は
デイトレ中心のトレーディング相場とよく
言われていますが、やはり21期平均線や
一目均衡表を使われているのでしょうか?
短期売買をやりたいのですが日足にくらべて
ノイズが多くて掴みかねています。
タイムフレームやテクニカル指標は何を使用されているのか教えていただけないでしょうか?

mori
2006年07月05日 22:46
私の場合、一目均衡表を使うのは波動と時間を見るために使っているだけです。
実際のトレードでは5分足チャートが中心です。
ただし、これが全ての方に有効かどうかは別です。
2006年07月06日 01:04
こんばんは森先生
ADP全国雇用指数が+36.2万人となりドル買いになったと言うことですが、この指数自体信憑性はどうなんでしょうか?。
ISM数値では雇用の数値はかなり悪かったようですけれど。。。
mori
2006年07月06日 06:43
おそくなってすみません、

私もISM指数を構成する「雇用」が48.7と景況分岐の50を割り込んでいる点は重要だと思いますが、市場がドル買い戻しで反応したことは、事実として受け止めるしかないと思います。

但し、これが持続的な動きであるかどうかは別の問題ですが。
2006年07月06日 08:38
つまりISMの数値よりもADPの雇用指数の方が明日の雇用統計に直結しやすいということですね。
でも過去のADP雇用指数を見ると実際の雇用統計と結構差があるように思えるのですが。。。
前回7万人台だった雇用が景気減退を認める中で急に30万人台に増加することなんて常識的にあり得るのでしょうか?
mori
2006年07月06日 08:41
いいえ、そのような断定的な見方はしておりません。
昨日は、ADP統計の上振れを受けて、米有力投資銀行が6月の非農業部門雇用者の増加数を20-25万人に上方修正する動きが相次いでおり、マーケットはこちらを重視しているようです。

現在、データ入力作業とリポート作成しておりますので、ここまでにさせてください。

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