ベージュブックはバーナンキ証言と同様にソフトランディングシナリオを示す!?

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 昨日のUSDJPYは、次回FOMCでの政策判断材料となるベージュブック(米地区連銀経済報告)を受けて利上げ休止観測が優勢となり、LDN仲値後に付けた117.14円を戻り高値にして一時116.18円まで急落した。

 ベージュブックは、全米で過去1ヶ月にわたり景気拡大が継続したものの、ペースは鈍化したと指摘する一方、消費者物価と賃金の上昇は「緩やか」で、インフレ圧力が加速する兆候はほとんどないことを示唆しており、バーナンキ議長が証言で示した見解を裏付ける内容となっている。
 つまり、FRB議長の証言やベージュブックは、潜在成長率とされる3%台前半に向けた健全な景気減速を描いており、インフレなき持続的成長に向けたソフトランディング・シナリオに沿ったものといえよう。

 市場では、米金利がピークに達した可能性があるとの見方を強め、短期筋主導でドルが全面安となったが、本日から8月のFOMC開催までには重要なマクロ指標の発表が幾つも控えており、インフレと景気減速の進行度合いを見極める必要性から、一方的なドル売りには歯止めが掛かっている。

 市場の短期金利見通しを反映するFFレート先物市場では、8月の追加利上げの確率が50%まで低下しているものの、9月以降のインプライド金利のカーブは5.50%への追加利上げの可能性を織り込んだ水準で推移している。
 つまり、仮に8月会合で利上げが休止されたとしても、FOMC声明は「インフレ警戒姿勢」を堅持し続けるとの読みがある。 

 FRBがインフレ期待を示す指標として注目する米国債とインフレ連動債(TIPS)の利回り格差(=TIPSスプレッド)は、今年5月の2.7%台からは低下しているものの依然として2.5%を上回っており、インフレ警戒姿勢を解除できる状況にないことを示している。

 このことは、米国のポリシー・ミックスの組合せが、引き続きインフレ抑止のドル安定が重要かつ整合的であることを示しており、現在のドル相場は米政策当局にとってSupportiveであるといえよう。 (世界経済の安定という観点からも、現段階ではドル安よりもドル安定が有効といえるかもしれない)

 現状でのリスクシナリオは、地政学リスク発の資源エネルギー高騰によりインフレが加速する局面であり、この場合には一段の利上げ継続により初期段階ではドルが押し上げられても、米長期金利が急騰すれば蓄積されたドル安のマグマが一気に噴出する可能性を高めることになる。

 バーナンキFRB議長は、下院での証言(07/20)で「原油価格が何㌦になれば重大なインフレ圧力になるのか」と問われ、「あと10-15㌦」と答えており、原油価格が85㌦を突破する局面ではFEDのソフトランディング・シナリオが修正を迫られることになる。

テクニカル:
 最近のコメントでは、USDJPYの季節性として月足騰落率データに基づいて、「7月のドル高」に対して「8月のドル安」の傾向が強いことを紹介したが、7月が陽線となるためには月末07/31のNYクローズが月初07/03の114.13円を上回る必要がある。

 最近の相場動向を振り返ってみると、117.88円(07/19)が戻り高値となり115.83円(07/21)まで反落し、今週07/25には117.40円まで反発したが、自律反発の限界上値となる117.40円処(=76.4% of 117.88⇒115.83)でしっかり跳ね返されている。

 このことは、115.83円からの反発が単なる修正高であった可能性を示唆しており、この次に115.83円を割り込む場合には、108.97円(05/17)と113.45円(07/10)を結ぶ上昇トレンドライン(=07/28時点で115.10円に位置)を試す展開が想定されてくる。

 つまり、早期に117.40円を上回る高値を示現しない限り、117.88円が戻り高値として確定することになり、このまま8月を迎えれば、ドル安傾向という季節性により108.97円から117.88円までの上昇幅8.91円に対する調整局面という位置付けとなってくる。
その場合のフィボナッチ・ポイントは添付した表を目処されたい。

(7月27日 11:30記)


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