バーナンキ・ショック、短期ドル売り一巡後の展開が焦点に!?

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 「バーナンキ・ショック」―――。 注目のバーナンキFRB議長の証言を報じたメディアの第一報は、「タカ派色の薄い内容」というものであり、広範なドル急落を誘発するきっかけとなったが、証言内容は基本的に6月のFOMC声明を踏襲する内容に沿っており、むしろ議会証言前に発表された米6月コアCPIの上昇で高められた市場でのインフレ期待の反動という側面が強い。

 証言で料視されたのは、①米景気の減速が続いている、②今後数四半期でコアインフレ率が低下する可能性、③今後の金融政策判断は過去の利上げを考慮――といった部分であり、市場の短期金利見通しを反映するFFレート先物市場では、CPI発表後に8月の利上げ確率が90%まで上昇したが、FRB議長の証言後には66%まで低下している。

 しかし、バーナンキ議長は「追加的な金融引き締めの程度と時期は物価と経済成長の見通しの変化に左右されるだろう」と述べており、9月以降の利上げ確率は80%以上を維持しており、仮に8月に金利据え置きとなった場合でも、追加利上げ観測が継続することを示している。

 つまり、短期金利ベースで5.25%という先進国中で3番目に高い金利水準が続くことになり、足元の地政学的な不確実性の増幅でリスク忌避的な投資行動が正当化される状況下では、待機資金の受け皿として選考され続ける可能性は高いといえよう。 ファンドマネジャーの視点に立てば、ドルベースでパフォーマンスを競い合うグローバルな投資家にとって、(待機資金で)年率5.25%という絶対金利収益が得られるメリットは軽視することはできない。

 一方、短期的な投機筋にとっては、昨日の議会証言は絶好の利食い場面となったものとみられるが、IMM日本円先物市場では06/02以降に構築された含み益を抱える円ショートポジション(ドルロング)が、どの程度まで決済されるのかが今後の焦点の一つとなってこよう。

 昨日は、バーナンキFRB議長の証言を好感して米主要3株価指数は全面高となり、債券市場も大幅に買われており、米国経済がスタグフレーションのリスクに直面しているというよりも、むしろFEDが描くソフトランディング・シナリオに沿って推移している可能性も指摘されよう。

 いずれにしても、米金融政策は利上げ最終局面に位置するものと観測されるが、次回08/08のFOMCまでは3週間弱も時間が残されており、この間に発表される経済指標次第ながら、相対的なドル優位が続く可能性は高く、腰の入ったドル売り仕掛けは時期尚早といえるかもしれない。

 本日のNYタイムでは、週次-新規失業保険申請者件数、6月-景気先行指数、7月-フィラデルフィア連銀景況指数、FOMC議事録・06/28-29開催分といった注目度の高い指標が目白押しとなっているほか、昨日の上院での議会証言に続いて下院でバーナンキ議長は証言を行う予定となっている。

 議会証言は基本的に前日のテキストが使用されるため、上院での内容と同様になると思われるが、質疑応答ではサプライズ的な発言が飛び出す(⇒質問者が引き出す)可能性もあり、注意しておきたい。


 そして、明日で「人民元切り上げ1周年」(07/21)を迎えるが、景気過熱抑制策(4-6月期GDPは前年同期比+11.3%と10年余りで最も高い伸び)の一環として新たな為替流動化策や利上げが実施されるとの思惑が燻っており、サプライズ的な政策発動の可能性は留意しておきたい。
足元のドル上昇や米中金利差拡大により、人民元の許容上昇余地が高められているほか、何といっても中国人民銀行の政策変更は木曜日(定番日)に行われることが多いため、欧州タイムで思惑が高まる可能性も念頭に置いておきたい。

(7月20日 10:50記)

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この記事へのコメント

fumikosagawa
2006年07月20日 11:47
moriさま、こんにちは
とうとう欲張ってカナダは売りそこねました。
ビールとワイン飲んでる場合じゃなかったようですね。
先ほど102円96銭で利確しました。
目先EUR・USDを買ってみようと思っています。
ふみこ
mori
2006年07月20日 12:02
こんにちわ
飲酒トレードは判断能力を低下させる恐れがあるため、ほどほどに。
でも、しっかり利確しているところは、流石ですね。
今度はEURUSDに食指を伸ばすんですね。
参考にさせて頂きます。

今日は夕方から六本木で食事会です。
ベテラン為替ディーラーさんたちから色々な話が聞けそうで楽しみです。
それでは。
m.m
2006年07月20日 12:04
森さんこんにちは。

昨日のバーナンキ議長の発言はサプライズとなりましたが、なかなかバランス感覚ある内容と私は捉えております。

直近のドルを取り巻く相場の流れが地政学リスク、インフレ期待を急速に織り込みながら高騰していただけに、その流れを肯定するようなタカ派発言では必ずしも今後のドルにとって良い流れとはならなかったでしょう。
それよりも6月の雇用統計を受けての緊急的なインフレファイターの姿勢を”解除”(これまでのインフレ抑制姿勢でドルに対する安心感を市場に与えることが出来たため)することによって、FRBは6月FOMCで掲げた声明内容にそって今後に対して自由度の高い選択が取れるようになりました。
(続く)
m.m
2006年07月20日 12:04
つまり”今後の利上げは景気見通し次第”という基本姿勢に立ち返ったことで、経済指標を見つめながら柔軟な選択がなされるだろうと考えられ、俄に円キャリートレードの復活を彷彿させるような急進的なドル高や、サプライズ的なドル暴落の可能性を防ぎながら、来るべき健全なドル安に向けて舵取りがなされて行くのではないでしょうか。

森さんもご指摘の通り、絶対的なドル優位は依然として変わらないものの、盲滅法な利上げ期待からの脱却を宣言した今回の議会証言は今後のドル政策に、そしてマーケットに冷静な判断を呼び覚ます意味でも大いに評価できる内容だったと言えるのではないでしょうか。

余談ですが、私個人としてはバーナンキ議長に彼自身の”色”を求めるのは、実際に利上げ停止を宣言し、前任者の”色”を払拭してからでも遅くはないと考えております。
どうも前任者が偉大過ぎただけに、バーナンキ議長には常に過度な期待(理想)がかけられ過ぎな気がしますね。大変大変です。
m.m
2006年07月20日 12:12
>今日は夕方から六本木で食事会です。
おいしいご飯になるといいですね。でも飲酒トレードにならぬようお酒は控えめにw。おみやげ話、待ってますね。

私も今日は本業がお休みなので、今日のアジアは相場が動かないと決め込んで、久しぶりに釣り堀にでも行ってみようかと考えています。
何にも考えずただ釣り糸を垂らしているだけなんですが、何とも幸せな気分になるんですね。
たまには何にも考えないことも必要なんだな~と痛感させられます。

さて、その前にお昼ご飯の用意をしなければw
初心者KT
2006年07月20日 12:16
こんにちは、先生。
昨日の続きで申し訳ありませんが。。。。
昨日のバーナンキ議長半期議会証言ではマーケットにインフレファイターとしての確固たる信任が確立されたのでしょうか!?それとも逆説的に、今回はマーケットがハト派と受け止める内容であっても利上げの含みを残すもの(マーケットの急激さを減速させるため)など。この時点でマーケットとバーナンキ議長の対話はできているのでしょうか?!
mori
2006年07月20日 12:23
m.mさん、こんにちわ

エコノミストの多くは、やはりバランスの取れた内容として評価しているようですね。
着地点を見定める局面にあるということで、市場期待を高めるのではなく、地ならしを始めたということかもしれません。

今日の食事会では、為替ディラーさんの視点からの意見が聞けるかもしれませんね。
mori
2006年07月20日 12:29
KTさん、こんにちわ
議会証言を受けた市場の初動反応は出ており、今日のコメントが私の最新の見解です。
そして、昨日の証言がバーナンキFRB議長流の市場との対話ということであり、その評価は現状で下すものではなく、今後出てくるということではないでしょうか?

fumikosagawa
2006年07月20日 13:08
moriさま
未熟なわたしなりにこの10日ほどを総括して
反省材料を作ってみました。まずカナダですが
金利が下がったとき即、売却すべきでした。
以下に自分に言い聞かせるための10か条を
つくりました^^

fumikosagawa
2006年07月20日 13:14
外為10か条
1、為替とは絶え間ざる価値観の変化でありそれにどう対応していくか、否どうさきどりしていくか、それが問題だ.
2、上げ相場であれば金利は美味しいものとな
るでしょうが、下げ相場ではなんの足しにもな
らない。
3、1度おぼえた高値に固執してはならない割
りきりがもっとも重要である。
4、底値で買って天井でうるのはほとんど不可
能としるべきである。
まずは利益を出すことが最重要課題である。
5、同じ傾向の思考をいつまでも持ってはいけ
ない。
fumikosagawa
2006年07月20日 13:15
6、最安値にこそ買い妙味があり、最高値に売
り妙味がある。
7、他の通貨(クロス・円)が上がっても自分
の買った通貨が、あがるとは限らない
8、漫然と売買してはならない、これはと思う
ときが、必ずくるのでそのときこそ売買の出動
時期でありましょう。休むも大事
9、3分の1投資法を守る、いつか必ずくるナ
ンピンのために、そのときは3分の1の再出動
も辞さない。でも決して残りの3分の1に手を
つけてはいけない。
10、自分で決めたロスカットは必ず守る買い
のばあい上昇したときにはロスカットをあげて
行く利益確定と同じ意味をもつから売りから入
ったときも同じように下げていく。
10日間でたくさん教えていただいた
ふみこでした。
mori
2006年07月20日 13:24
この10ヵ条が実践できれば、自ずと結果はついてくるでしょうね
ただ、9条の難平はできる限りしない方がいいと思いますが、この逆の利乗せであれば賛成です。

森派
2006年07月20日 13:26
mori先生こんにちは。ふみこさんに言いたいのですが、あなたがたった10日間で学んで作った10か条とやらをココに書き込むのはどうでしょうか。。。自身作成したルールは経験と共に変わるものと思います。公言せずとも自身で守っていけば良いのではないでしょうか?。。
以上、ロム専門森派でした。
mori
2006年07月20日 13:43
ご指摘のようにルールは経験と共に変わり、また変わっていくものかもしれません。
一つの考え方として、ブログの中で公開することによって、ルールとしての重みを高めることにもなります。
また、諸先輩がアドバイスすることもできると思います。

これさえやっていれば大丈夫という絶対的なルールはないかもしれませんが、このブログは分析精度を高める目的で始めていますので、やさしく応援してくださると嬉しいです。
fumikosagawa
2006年07月20日 13:49
moriさまやはりプロの方のご意見はシビアで貴重ですね9条変更します。

森派さますいませんでした。
まだ自信がないもので、これでいいのかどうか
オロオロしている状態です。
経験と共に変わるこれも自身にいいきかせて
今後の参考にします。
ありがとうございました。
EURO SELLER
2006年07月20日 15:59
こんにちは、

私がいまいちバーナンキを評価できないのは、FRB議長として以下の二点の間違いをしていると思うからです。
1.将来の予見をする。
彼はストレートにアナリストのような感想を言い過ぎます。自分自身の言葉の重みを認識して、自分の発言で市場に思惑をあまり持ち込ませないでもらいたいです。大きく動くのは経済指標を市場に直接評価させましょう。
2.自身のポリシーを明確にしない。
ハト派ともタカ派とも取れる発言に終始し、市場が踊らされる。タカ派だが、景気停滞も注意している。ハト派だが、インフレを容認するわけではないという安心感がまだ市場にもたれていない。

実はこの2点、反対の意味に裏返すと市場参加者(アナリストでない)に必要な資質だと思うのですが、バーナンキは市場参加者に一番遠いところにいるのでしょうか。

今晩の食事会での専門家の意見を楽しみにしています。
itimoku
2006年07月20日 20:03
こんばんは
いきなりですがユーロドルは綺麗すぎるほど日々線と遅行線が同調しています。
このまま行けばねじれ付近で3点シグナル点灯で5/6日高値を視野に1.30を目指す展開が予想されるでしょうか?
森先生の見解をいただけたら幸いです。
fumikosagawa
2006年07月20日 20:26
moriさま美味しいお食事と経済談義でおおいに
もりあがっておられるものと、おもいます。
EUR・USDは1.2599で8万購入しました。
カナダが103円70銭台のとき1.2480
台だったとおもいますが、乗換えを考えましたが
決断がつきませんでした。
それは先生がEUR/USDを推奨されていたからです。
先生ほどの方が推奨されてこの値段なら絶好の
買い場と感じました。
ただカナダへの思い入れがつよすぎました。
銘柄にほれてはいけない。
痛切に感じています^^
とりあえず乗り換え成功のようです。
三段めのあげに入ったみたいです。いつもの節目である1.2660で足踏みし、そのあと
1.28や29をめざすのかなと思っています。
ふみこ
つぶつぶ
2006年07月21日 02:16
>それは先生がEUR/USDを推奨されていたからです。
>先生ほどの方が推奨されてこの値段なら絶好の
>買い場と感じました。

外為11条 他の人の予想や推薦を疑う事。結論は、ご自分の判断で。。。
外為12条 日々勉強
mori
2006年07月21日 12:06
お返事が遅くなってすみません。
つぶつぶさんがご指摘されている通りだと思います。
絶対的な情報はなく、相場シナリオには必ず前提という賞味期限があります。

今回のEURUSDの場合は、『上昇チャネル』の相場リズムが継続しているとの前提と、上昇トレンドラインのサポートという条件の下で切り返す展開を描いていました。
しかし、17日に欧州タイムでこのシナリオの前提は崩れています。
また、この段階(1.2610㌦処割れ)でマーケットから撤退していれば、損失は最小限ですみ、逆に上昇トレンドライン割れに伴うショート戦略で利益を出すことも可能だったわけです。

相場シナリオの前提を吟味して、独自にストラテジーを構築する必要があると思います。
PITT BULL
2006年07月21日 14:57
皮肉なことにユーロは戻っていますね。
mori
2006年07月21日 15:15
PITT BULLさん、はじめまして

まったく、その通りですね。
でも、この週の安値1.2456㌦(07/19)は、Fibonacci retraceの1.2468㌦処(=38.2% of 1.1640⇒1.2980)を達成し、昨日は1.2654㌦まで反発していますが、ちょうど1.26661㌦処(=50.0% of 1.2865⇒1.2456)や21日平均線の1.2665㌦処で抑えられる格好となっています。
つまり、現在の反発は1.2865㌦(07/07)を起点とする下落に対する自律反発という位置付けであって、私が先週末に描いていた上昇シナリオとは異なるものと捉えています。

現段階では、本格反発と確定するための条件をクリアしていませんので、力強さには欠けますが、目先は21日平均線の攻防が焦点となるでしょうね。

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