地政学的な不確実性の増幅が消極的かつ一時的なドル高を促す!?

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 日銀は07/14の金融政策決定会合で「ゼロ金利政策」の解除を全会一致で決定し、無担保コール翌日物金利の誘導目標をゼロ%から0.25%へ引き上げ、即日実施した。 

 2001年3月以来5年4ヶ月ぶりに金利にボラティリティーという市場機能が復活することになるが、補完貸付制度の基準金利を0.40%にとどめたことや、福井総裁が今後の金融政策について「極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高い」と、連続利上げを意図しない考えを示したことから、市場では目立った混乱もみられず、円債市場では長期金利が低下、為替市場でも円安が進展している。

 日銀の金融政策に敏感なユーロ円3ヵ月金利先物は、07/07時点で年内2回の計50bpの利上げを完全に織り込む水準で推移していたが、ゼロ金利解除後は若干の後退を示している。

 一方、株式市場は4日続落で、日経平均株価は06/28以来の1万5千円台を割り込んでいる。 金融資本市場を取り巻く環境は、世界的なカネ余りからの転換期(グローバル・タイトニング)にあって、こうしたなかで地政学的な不確実性の増幅が原油価格の高騰を招き、米経済のスタグフレーション・リスクの高まりと相俟って、米国発の世界同時株安の悪循環を引き起こしている。
 つまり、グローバルな投資家心理が萎縮する中での株安連鎖であり、リスク麻痺で拡散したマネーが“流動性への逃避”という消極的な投資行動の中でドルを押し上げる格好となっている。

 最近発表された米景気指標では、まず経済の重要先行指標である「ISM製造業景気指数」が2ヶ月連続の業況悪化を示し、「雇用統計」ではNFPの伸び鈍化の一方で賃金上昇率は5年ぶりの高水準を記録し、個人消費動向を占う「小売売上高」は2月以降で初めての前月比マイナスを記録するなど、景気減速とインフレを示す状況となっている。

 FRBは先月末のFOMC声明で、「引き締めの程度やタイミングは物価・経済見通しに依存する」として追加利上げの可能性に含みを残したが、足元の景気指標を受けたFFレート先物市場では、8月の利上げの確率が58%まで低下するなど、必ずしもドル買いを正当化する状況とはいえない。

 こうした状況下、今週は最新の物価指標や設備稼働率、住宅着工、景況指標など、重要指標の発表が目白押しとなっているが、中東情勢の緊迫化や北朝鮮問題など地政学的要因に比重が置かれる状況下では、引き続きリスク回避志向が優先される可能性は念頭に置いておきたい。

 但し、中東情勢の緊迫化で最高値を更新する原油高が一段の米株安をもたらす状況ともなれば、グローバルな投資家のリスク回避志向を強めることになり、ホームバイアス(自国資産を選考する傾向)が一転してドル安を加速させる可能性にも留意したい。

(7月16日 23:20記)

以上、7月第3週の『森レポート』(全P.4)より抜粋です。
本日は「海の日」の休日ですので、特別に公開させていただきました。
(7月17日 11:00記)

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この記事へのコメント

EURO SELLER
2006年07月17日 17:16
こんにちわ、森さん、
本日は海の日で、江ノ島に行ったのですが、波を見ているとつくづく相場の動きとよく似たものを感じます。Tide&Waves・・・

でも、途中で雨が降ってきたのでいったん帰ることにしたのですけど、GBP/JPYがロンドン明けと同時に落ちだしましたので、リミットをTrailingに変えて再度外出です。まったく、何が幸いするかわかりませぬ。

夜遅くまたお邪魔します。
fumuikosagawa
2006年07月17日 17:22
moriさまこんにちは、休日なのにご苦労様です
USDは、双子の赤字は、実力は??
多国籍企業で世界中から富をあつめている
USDは実際はもっと強いのではないでしょうか
世界で一番の軍事力、脅威さえ感じますが
今のところ、抑止力も国内で働いているようです
どこの世界でも善と悪の戦いが大なり小なり
起こっているのでしょう。
世界の趨勢からみればUSDの実力はもっと
強いものがあるような気がします。
年内、121円突破して最高値更新するような
気がします。
カナダもいずれは110円台があるのかもしれません。
女の感とお笑い下さい・・・
ふみこ
mori
2006年07月17日 20:41
EURO SELLERさん、こんばんわ

江ノ島の海ですか、Mr.Elliottも波の波動をヒントに波動理論を構築したそうですよ。
ところで、GBPJPYのショートは上手くいったようですね。


fumuikosagawaさん、こんばんわ
OLトレイダーの鋭い洞察力に感心しております。USDJPYの121円突破は、年間変動率の観点からは、十分ありえるシナリオだと思います。

ただ、今年はあまりに不透明要因が複雑多岐にわたっており、一方向の相場展開が描けないかなと頭を痛めています。

博徒
2006年07月17日 20:49
GBPで儲けた、損したと一喜一憂している方、丁半博打のほうがよっぽど面白いょ!同じ次元でやっているみたいなのでアドバイス!!
mori
2006年07月17日 21:00
アドバイスありがとうございます。
でも、私にとって唯一の楽しみですので、応援よろしくお願い致します。
EURO SELLER
2006年07月17日 21:25
博徒さん、
心配してくださってありがとう。
私は金曜日からGBP/JPYをショートしていますが、行き詰まり線と三羽烏を見てからポジションを取っているので、博打と違って負けても納得がいきます。GBPは値動きは荒いのですが、博徒さんこそぜひ参戦してみてください。
博徒
2006年07月17日 21:31
moriさんの事は知りませんでした 大変失礼でした 事情を知らずGBPの売買している方が心配でついついお節介しちゃいました
mori
2006年07月17日 21:44
博徒さん
このブログにアクセスして下さっている方々はどなたも勉強熱心で向上心をお持ちな方ばかりです。
それは博徒さんも同じだと思いますが、私の長ったらしいレポートを読んで下さっているのも、その分析手法やプロセスを重視しているからだと思います。

そんなわけで、為替マーケットを通じて交流しているのですから、お互い励まし合っていけるように応援お願い申し上げます。

特に私は最近マーケットとの相性が良くないので、励ましを必要としているのは私自身なのですが・・・。
よろしくお願い致します。
博徒
2006年07月17日 22:16
GBPはかってJ.ソロスに完璧なまでに蹂躙されたように大変金融指向性の強い又方向性のハッキリしている通貨でッス 多数者の平均が期待できないのでチャートはあまり意味をもたないはずでッス それで老婆心で博打と言ってしまったッス
mori
2006年07月17日 22:29
博徒さん、ありがとうございます。

私もGBPJPYには手痛い仕打ちを何度も喰らっているんです。だからこそ、試行錯誤しながら分析精度を高めるための努力をしているんです。

絶対的な分析やチャートはありませんが、精度を高めることは可能だと思いますので、博徒さんのお知恵も拝借したいものです。
初心者KT
2006年07月17日 23:32
先生、夜分にすいません。
あれから、先生の言葉やここに来られている人のコメント等を参考に自分自身もいろんなブログ、本などを読みあさって自分なりの諸法を構築にいそしんでいます。7月1日から14日までいろんな通貨でチャートだけを参考に12p~40p抜きのトレーニングをしました。結果は10戦10勝です。
売りから買いから両方できるようにしました。売り:買い=4:6でした。今は円が弱いような気がします。今もドルが予想を超えて強いです。でもいつまでも続くとは思っていません。リスク回避を狙って、先生の指南もと参戦したいと思っている所存です。確かに先生のコメントが言葉の奥ゆかしさが少しではありますが分かって来ました。体にお気をつけてそしてそんなに根を詰めんでください。では
mori
2006年07月17日 23:43
KTさん、こんばんわ

マーケット・コンディションに合わせたトレーディングを実践していらっしゃるわけですから、初心者ではないと思いますよ。

10連勝は素晴らしいね。ただ、いつかは連勝記録も止まる時が来ると思いますので、思惑に反して動いた局面での対処方法を大切に、次につながる楽しいトレーディングを目指してくださいね。
初心者KT
2006年07月17日 23:56
いつもながら感謝です。
先生、明日の記事の更新はあるのですか?
またドル/円117円とは窓埋め(終値の最終は未定だが)となると7月ドル高、8月ドル安で 秋以降は緩やかなドル高になるか、不均衡問題を上げて徐々にドル安なるかだと思います。前のヒトもコメントしてましたが年内ドル/円121円突破がもし起こったならば、まさに「行って来い」でなんの解決にもなってなく、また不意に暴力的な円高が幾度となく起こるだけのような気がしてなりません。ドルはどこに行きたがっているのでしょうか?
EURO SELLER
2006年07月17日 23:57
今現在は、EUR/USDもGBP/USDも売りと買いが交錯しています。欧州勢があきらめればニューヨーク勢が勝ちそうですね。
mori
2006年07月18日 00:17
KTさん、
コメントは基本的に毎日更新するように努力しています。
 特に見通しを誤った時ほど重要であると心得ていますので、私が見誤った背景や着眼点がズレた要因を把握して頂き、ご自身のストラテジー構築に活かして下さい。

また、私が分析の前提として着眼した要因を上回る新たな相場材料が浮上する場合もありますので、継続的に接していただくことで多くのヒントは得られると考えています。

EURO SELLERさん
私の場合は、先週半ばからのEURUSDの下落に全く付いていけてません。これをトレーディング・チャンスとして捉えられなかったことは、大きな反省材料であり、克服すべき課題でもあります。

いま、8月のセミナーの準備をしながら、この課題に真剣に取り組んでいるところです。
EURO SELLER
2006年07月18日 00:18
>欧州勢があきらめれば
(午前一時までもみ合って)欧州勢があきらめれば
この気合の入り方は、どちらも明日からバカンスなのでしょうか。

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