ドル上昇を促している要因を考える!?

画像

 昨日のマーケットは、欧州序盤から円の全面安とドルの全面高という二つの流れが優勢となり、新たな動意の可能性に注目したEURUSDは期待に反して大きく売られる展開となった。

 本日はまずEURUSDの懺悔から始めなくてはならない。
 昨日のEURUSDは、東京タイムで概ね1.2760㌦を中心とする小動きで推移し、欧州勢参入後に俄かに買いが強まり、前日の高値を上抜いて1.2780㌦まで上昇したが、ロシア石油企業の110億㌦の新規株式公開絡みのユーロ売り・ドル買いが上値抑制要因となり、ジリ安基調に転じた。 

 さらに、NYタイムでは米5月貿易赤字が事前予想を下回ったことを受けて売りを浴びせられ、1.2675㌦へと大幅続落した。 同水準は、直近のユーロ上昇に対する50% retraceの1.2672㌦処(=50.0% of 1.2478⇒1.2865)をほぼ達成する安値でもあり、このあと1.2705㌦へ緩やかに買い戻されている。

 日足均衡表では『転換線』が『基準線』を上抜くという確度の高い「強気シグナル」を点灯しているが、マーケットの世界は結果が全てであり、一つのシグナルに拘り過ぎた故の判断ミスであり、今後の分析過程においての教訓として活かしていきたい。

 こうした反省点も踏まえた上で改めて昨日のマーケットを眺めてみると、この日発表されたユーロ圏経済指標では、1-3月期ユーロ圏GDP確定値は前期比+0.6%となり、内外需が景気拡大を支える良好な内容が示されている。 
 また、ECB政策メンバーからはアイルランド中銀総裁が08/03の理事会を電話会議から通常会議に格上げしたことについて、インフレに対する強い警戒が必要な時期であり適切な判断だとの認識を示され、次回ECB理事会での追加利上げ観測が高まるなど、ユーロの独自材料ではEURUSDの持続的な売りを正当化する要因ではなかったことがわかる。

 市場ではECBが一段と速いペースで利上げを実施する可能性があるとの見通しから欧州債の利回りが上昇しており、米欧間の長期金利格差は1.0290%(=米国5.106%-独4.077%)と06/07の1.025%(=米国5.024%-独3.999%)以来の水準に縮小している。 
 利回り格差が縮小したとはいえ、米国優位の状態に変わりはないものの、資金(調達)コストである短期金利を差し引いた利回りでは、米国が▲0.144%(=5.106-5.25%)であるのに対して欧州は+1.327%(=4.077-2.75%)となっている。

 米国の場合、FFレート5.25%を長期金利が下回る逆転現象が続いており、短期金利を下回り続ける長期債への持続的な資金流入は想定しづらく、現在のドル高が逃げ足の速い短期資本によって支えられた不安定な足場に立っていると読むことができよう。

 こうした背景には、①北朝鮮ミサイル発射問題の長期化観測、②イラン核問題の国連安保理への付託、③イスラエル情勢の緊迫化(レバノン侵攻)など、市場参加者が嫌う地政学的な緊張や不確実性要因の存在を挙げることができよう。

 足元では、こうした地政学的な緊張や不確実性が原油価格を一段と押し上げており、これが世界的な金融引き締め要因にもなってくるが、先行き不透明感の増幅が新たな相場仕掛けというよりは、むしろ既存ポジションのアンワインドを優先させる方向に働いていると読むことができよう。 この場合、最近の取引レンジを大きく逸脱する動きは想定しづらく、当面はチャートポイントを意識した日替わり相場の継続を念頭に置いておきたい。

 尚、本日はゼロ金利解除に関するコメントを書く予定でしたが、反省文が長くなってしまいましたので、明日改めて採り上げさせていただきます。

 昨日のマーケットでは「日銀は利上げ幅を市場予想よりも低く設定する」という憶測を手掛かりとした円売りが進展する場面がみられたが、今朝の日経新聞一面トップは、大見出しで「ゼロ金利あす解除へ」、中見出しで「日銀、誘導目標0.25%に」と大きく掲げており、これは日銀(リーク記事?)による市場へのメッセージとして受け止めておきたい。

(7月13日 11:20記)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

fumikosagawa
2006年07月13日 19:23
moriさま今晩は、職場から出ると熱いですね。日銀ですがもう材料にはならないのでしょうね。
年内にあと0.25上がるかどうかのご意見が
多いようですね。
昨日は結局カナダ・円を9回も売り買いしました。
随分なれてきましたので少しずつ増やし最終的
にカナダドル6万買い(101円40銭台)のまま終了しました。
おかげさまで4連勝でした。
資金の3割になりましたので、これで限度にします。
30銭のロスカットは上昇するたびに少しずつ
あげています。
現在は買い値にしていますので、安心です。
女の感ですが、カナダドル103円にはなると
おもいますので、しばらく保有しようと思っております。
またいろいろとお教え下さい。
ふみこ
mori
2006年07月13日 19:35
こんばんわ

素晴らしい成績ですね。脱帽です。
女性特有のトレード・センスが備わっているんでしょうね。あやかりたいものです。

私は毎月売買収益の上限を100万円に設定して売買を行っているんですが、今月は11日(火)までに+76%を達成していたのですが、昨日のEURUSDで+40%に転落してしまいました。

月間収益上限の最短達成を目論んでいたのですが、そういう不埒な気持ちでトレードをすると駄目ですね。

基本に立ち返って頑張らなくてはいけませんね。今回はふみこさんに教えられました。
ありがとうございました。
DDT
2006年07月13日 21:28
今晩は、森先生。

今日の日経の記事が日銀のリークと見ている方は他にも居るようですね。
私もリークと見ています。
ところで、先生のシナリオに近いレポートを見つけました、お暇な時にでもどうぞ。
しかし、御存知でしたらスルーお願いします。
http://tameike.net/pdfs6/tame325.PDF
(巻末の小泉訪米のくだりですが、少し内情は違うようです、グレースランド訪問はあくまでブッシュ大統領のアイディアだったとの事です。一年ほど前よりのプランで、側近スタッフは大統領のジョークと思っていたらしく、訪米が正式に決まった際、大統領にジョークではなく本気のプランと言われた際、スタッフ一同気を失いかけたと言うことです。)

ドル円は昨晩の勢いは大分沈静化してきたようですね。
さて、明日は10年ぶりの日本の金融政策の転換、マーケットは織り込み済みとのことですが、果たしてどうでしょうか?

DDT
2006年07月13日 21:31
先生のシナリオに近いではなく、ベクトルが同方向ではないかな、と私が感じているものです。
もし、見当違いでしたらすみません、事前にお詫び申し上げます。
mori
2006年07月13日 21:37
DDTさん、 こんばんわ

双日の吉崎さんですね。
私が証券会社に在籍中の頃にはこのレポートをよく読ませて頂いていました。
じっくり読ませて頂きます。
ありがとうございます。

この記事へのトラックバック

  • 全面高・全面安

    Excerpt: 全面高・全面安とは相場が各銘柄が足並みを揃えて高くなることを「全面高」といい、その反対に、各銘柄が一斉に安くなることを「全面安」といいます。 Weblog: 初心者への提言、外国為替FXの基礎知識 racked: 2006-08-26 10:08