相場リズムの変調を示唆する兆候!?

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 昨日のUSDJPYは、FOMC並びに日米の注目指標の発表を控えて大きな動意はみられなかったものの、金利面での絶対的なアドバンテージを抱えるドルのしぶとい強さと、日銀総裁問題で先行き不透明感を増幅する円の弱さから、一時116.71円と04/21以来のドル高・円安水準を付けている。

 日足チャート上では、『上昇チャネル』の相場リズムが維持されているため、スピード調整を交えながらも上値余地を試す展開が想定されるが、「ワシントンG7ギャップ」(=115.95-116.55円)が未だにNYクローズでは「窓埋め」完了となっていない点は妙に引っ掛かるところでもある。(⇒一部アナリストは早々と“窓埋め完了”を宣言しているが、テクニカル的にはNYクローズベースでリトレースしない限り、正式な“窓埋め完了”とはならないことを付け加えておきたい。)

 こうした状況下、マーケットは日々様々な変化を提供してくれている。
まず、米債券市場では10営業日ぶりに債券が買われ長期金利が低下し、史上最強のFEDウォッチャー「FFレート先物」も8月の利上げ確率が06/23時点の96%から90%へ低下している。

 この日は、米6月消費者信頼感指数の物価見通し指数が前月の5.6から5.1に低下したことや、米有力シンクタンクが6月の利上げ後の措置についてFRB当局者の間で意見は統一されてないと指摘したことが材料視されている。 FOMC直前という事情はあるものの、先週までの米景気減速を示唆する指標発表に全く反応しなかったセンチメントとは異なっている点は留意しておきたい。

 また、IMM日本円通貨先物オプション市場では、『プット・コール・レシオ』が再びピークアウトしている点には注意が必要かもしれない。
 コールオプションは、あらかじめ決めた価格(strike price)で円を買う権利であり、プットオプションはこの逆で円を売る権利となる。そして『プット・コール・レシオ』は、プットオプションの出来高をコールオプションの出来高で割ったものであり、コントラリー・オピニオンや過熱感(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を見る一つの尺度として応用することができる。

 この『プット・コール・レシオ』は、6月14日時点の80%をピークに、最新データとなる6月26日時点では77%へと低下してきている。 この比率が大きい時はプット(円を売る権利)がコール(円を買う権利)以上に買われていることを示しているので、多くのトレーダーがドル高・円安を予想していることになるが、プットとコールの割合のうちコールが増えてきているのは、プロや機関投資家が円高に備え始めたシグナルと解釈することができる。

 さらに、IMM日本円通貨先物市場では、市場エネルギーのバロメータである取組高(=取引中心の9月限)が06/22をピークにして伸び悩み、最新データとなる06/26時点では減少に転じていることも、相場リズムの変調を示唆するデータといえよう。

 現時点ではいずれも僅かな変化であり、これをもってドル高基調の転換とすることはできないが、すでに8月の追加利上げの可能性まで織り込んだ市場参加者にとってはFOMCがよほど“サプライズ”とならない限り、イベント終了は材料出尽くしとなってくる。 特に、月末最終週で翌週に独立記念日(07/04)の休日を控える状況下では、持ち高調整が優先されるとの経験則は念頭に置いておきたい。

 一目均衡表の波動論ではE-計算値により117.79円処(=113.38+【108.97⇒113.38】)が上値目標として導かれるが、時間論では108.97円(05/17)を起点とする基本数値「一期一節」の応答日を今週末06/30に迎えるため、今週末が一つのヤマ場となる可能性は想定しておきたい。

(6月28日 11:10記)

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この記事へのコメント

う~ぱる~ぱ
2006年06月28日 14:20
こんにちは。一部のファンドは7月以降の期変わりで早くも対アジア通貨でドル売りを昨日あたりから再開しているというコメントをどこかで見ました。
116円台も売り圧力がそこそこ強いのでドル円の
売りを再開したがっているという話もあるようです。1~3月もみにもんだ往来領域の入り口ですから、上伸し損ねると113円半ばぐらいまでは可能性あるかもしれませんが、基本的には膠着したやりにくい相場展開ですね。
mori
2006年06月28日 14:40
こんにちわ

USDJPYの116円High-Upperは揉み合いが繰り返されたシコリ玉の多い価格帯ですので、すんなりと上には行けそうにないようですね。
06/30までは上昇余力を有していますので油断はできませんが。

私はこの2日間、もっぱらGBPJPYの超短期逆バリで月末の帳尻合わせのトレードとなってしまっていました。少々疲れました(笑)
初心者KT
2006年06月28日 16:32
森先生、こんにちは。
米ドル円の不均衡再燃問題で、また7月以降にスプラッシュマウンテン級の円高は来るのでしょうか?終値116円60銭という重みから考えると時間軸と共に円高要因が強くなると考えるのは自分だけでしょうか?
mori
2006年06月28日 16:41
こんにちわ

108.97円(05/17)からのドル上昇に対する調整はあると思います。
しかし、FEDがインフレ警戒姿勢を維持している間は、政策と整合的なポリシー・ミックスの方向性はドル安とはなりませんので、インフレ状況次第だと考えいます。

また、米長期金利が急騰するような事態に陥っていないということは、市場はFEDのインフレ抑制策に信認を与えているということですので、インフレ指標が上振れしない限り暴力的なドル安の可能性は低下していると考えたほうがいいかもしれません。

初心者KT
2006年06月28日 16:49
先生、それではワシントンンG7ショックは偶発的可能性が強かったという事ですか?たまたまそういった場面になってしまったのでしょうか?そもそも今後不均衡問題は今年のテーマに上がる事はあるのでしょうか?
初心者KT
2006年06月28日 16:55
先生、すいません。
自分の書いた文章は支離滅裂です。
もう少し、落ち着いて相場を見守って行きたいと思います。
すいませんでした。
mori
2006年06月28日 16:57
政策の優先順位という視点で考える必要があると思います。喫緊の課題は何であるかということです。

グローバル・インバランスは持続不能だと各国要人は指摘していますが、その後の米インフレ率の上昇により、FEDがインフレ警戒姿勢を強めざるを得なくなった以上、一段のドル安はむしろ米インフレ高進リスクを高めることになり、過去にみられたドル暴落のリスクを高める恐れがあったということです。

mori
2006年06月28日 17:00
但し、グローバル・インバランスは今回のBIS年次報告でも指摘されたように、決して解決された問題ではないということを念頭に置いておく必要はあると思います。
初心者KT
2006年06月28日 17:14
先生、わかりません最後に一つだけ。
FEDが金利の番人に徹している間はグローバル・インバランスのテーマは相場のテーマにならないという事ですか?以前先生が米ドル持ちは大変危険という解釈は少しシフトしているという事なのでしょうか?
mori
2006年06月28日 17:22
ドル上昇は将来のドル下落の裏返しだと考えいます。
FEDがインフレを警戒している時に、ドル安を求めるということは、政策の整合性がとれていないということになります。

こうした状況下では、投機筋に政策の矛盾を突かれ、なし崩し的なドル安リスクを招く恐れもあり、米政策当局は政治的ドル安から政策的ドル安定に軌道修正していると解釈しています。
初心者KT
2006年06月28日 17:26
大変参考になりました。
毎回本当にありがとうございます。
自分も日々精進して行きたいと思います。

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