各国中銀の「信認」獲得競争が通貨序列を形成!?

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 今週は週後半に重要イベントおよび注目度の高い指標の発表を控えており、基本的には持ち高調整以上の新たな動意は想定しづらいものの、三極経済圏を中心とする通貨序列は各国中銀に対する信認によって形成されつつある。

 週明けの欧米タイムでは、ECB理事会メンバーからインフレ抑止に対する強固な姿勢が相次いたが、こうした発言の背景には理事会メンバーが「中期的な物価安定維持」の達成のみがECBの政策運営に対する信認を築く唯一の手段とみなしているからである。

 ECBには、インフレ率を2%以下かつ2%近くに維持するという明確な目標があるが、ユーロ圏EU基準の消費者物価指数は今年5月に2.5%へ再加速し、12ヶ月連続で年率2%を上回っている。 ECBは、昨年12月の理事会で約5年ぶりの利上げに踏み切って以降、3ヶ月毎の25bpの規則的な利上げが行われてきたが、昨日の理事会メンバーの発言は早ければ8月3日の理事会で50bpの大幅利上げの可能性を示唆するものとなっている。 

 ECBは今月6月の理事会(開催地マドリード)で25bpの利上げを決定したが、本部所在のフランクフルト以外での利上げは異例のことであり、電話会議方式で行われる8月3日の理事会で利上げが決定されれば、初めてのこととなる。
 こうした異例の政策対応は、ECBのインフレ抑止に向けた政策の信認を高めるものでもあり、中東諸国中銀が外貨準備のユーロ比率を高める傾向にあることは自然な流れであるといえよう。(⇒昨日はアラブ首長国連邦中銀が、外貨準備高の10%をユーロにシフトすると発表)

 一方、米国では、今年2月に就任したバーナンキ新FRB議長が市場との対話で信認を失いかけていたが、FEDメンバーと共に強固なインフレ警戒姿勢を打ち出すことにより「ハト派」のイメージを払拭し、信認も取り戻しつつある。 その証拠に、市場の金利見通しは5月初めにはFFレート5.0%で利上げ打ち止めが大勢を占めていたが、足元では8月会合で5.50%まで引き上げられるまでに高められている。

 昨日開催されたBIS(国際決済銀行)年次総会は、年次報告で原油高を背景としたインフレ圧力とともに世界的な不均衡が市場安定と経済成長へのリスクとして警告し、特に世界的な不均衡が是正に向かう過程で急激なドル安の進行など金融・為替市場が秩序を失って動揺することを懸念している。

 対GDP比で7%に膨張した持続不能な経常赤字問題が存在する限り、ドルの急落は不可避としても、ドル金利の絶対的なアドバンテージやFRBに対する信認が、ドル急落リスクを軽減する方向で働いていくものと観測することができよう。

 むしろ足元では日銀総裁の資金拠出問題の長期化が、日本特有のワードショー化により信認を揺るがし始めている点には注意が必要であろう。 昨夜報道された最新の世論調査では、76%が福井総裁の辞任を支持するなど、事態収拾が困難な情勢となりつつあることを示している。 中銀総裁には、公正中立性に対する絶対の信頼と疑念を招かぬ言動を貫ける資質が求められている。 市場関係者および財界は擁護論が多いが世論調査の結果は重く、最も懸念されるのは日銀の政策運営に影響を及ぼすと解釈されてしまうことであろう。

 国内的にはゼロ金利解除のタイミングが遅れれば、景気失速リスクを高めることになり、対外的には主要各国中銀との金融政策正常化に向けた協調体制のズレにより、不均衡拡大と共に悪い円安(⇒将来の円急騰)を加速させるリスクを孕んでいることを念頭に置いておきたい。

(6月27日 11:05記)


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この記事へのコメント

瑞穂
2006年06月27日 18:35
お忙しいところすみません。

ユーロ/円のRSIのFailure swingsによる売りシグナルはいつ点灯するのでしょうか?
売りたい誘惑に駆られていますので、よろしくお願い致します。
mori
2006年06月27日 18:44
こんにちわ

売りたい誘惑よくわかります。
でも流れに逆らって焦る必要はありません。
今週の『森レポート』P.11に書いていますが、
13日-RSIが、50% を割り込んだ段階で売りシグナルを点灯することになります。
ただ、昨日のNYクローズ段階では58%へ上昇しており、これが直近ピークの80%に向けて再浮上する場合は“Failure swing”の完成とはなりませんので、焦ることなくじっくりチャンスを待ちましょうね。

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