リスクマネーの再配分が新たな相場展開を形成!?

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 昨日の日経平均株価の大幅続伸、アジア株も軒並み堅調となり、インドのSENSEX指数は前日比+7.19%と過去最大の上げ幅を伴ってこの日の取引を終えている。 世界同時株安の震源地でもあった米株式市場では、製造業景気指数が好材料となったほか、バーナンキFRB議長がインフレ抑制に成功しているとの見解を示したことが好感され、米主要3株価指数は揃って大幅な上昇を記録している。

 三極通貨相場は、ドルが最近の高値圏を維持しながらも方向観に乏しい乱高下となり、米追加利上げ観測がCPI発表後よりも強まったにもかかわらず、ドルは前日の高値に迫る場面はみられなかった。 これは、株式市場が落ち着きを取り戻したことを受けてドルへの資金還流観測が後退しているものとみられ、次なる焦点はキャッシュ化されたリスクマネーの行方(新たな流入先)にシフトしていくことになろう。

 ここでの留意点は、グローバルな市場環境がディスインフレ(デフレ)からインフレの時代へ、そして世界的な株高や高金利通貨・資源高を促した昨年までの過剰流動性相場も終息(⇒正常化=金融引き締め)に向かいつつあるということである。 

 こうしたパラダイムシフト(環境の変化)は、最近の世界同時株安のように混乱や緊迫したプロセスを伴うものであり、過剰流動性収縮のペースや着地点が描けるまでは市場の不安定な状況が続くものと観測される。

 今朝の日経金融新聞の一面トップには、総額6千億㌦超の資金を運用する米最大の債券運用会社ピムコの運用戦略が採り上げられている。 まず、その大見出しが“米ピムコ「守りの運用」へ”となっており、小見出しが“市場リスクに警戒感”、そして中央には太字で“脱ドル鮮明に”を掲げている。

 巨艦ピムコは、高リスク資産から早めに退避する運用を鮮明にしていたことで注目されており、5月の運用戦略会議の討議は市場リスクの高まりに集中していたという。 今後の最大の不透明要因は日銀の政策転換としており、低コスト資金を供給し続けてきた日銀が金融引き締めに動き出せば、世界的に投資マネーの収縮が起きかねないと警告している。

 そして、重要戦略として取り組みを加速しているのが、「脱ドル、すなわちグローバル運用体制の強化であり、長期的にドル安が進み、地域通貨での運用商品ニーズが高まる」との最高経営責任者トンプソン氏の判断が掲載されている。
 同氏は運用会社としての成長分野は米国外にあるとし、「我々は究極的に米ドルが対ユーロや対円で下落するとみる。世界の投資家は米国債から離れ、地域ごとの債券市場での運用商品を求めるだろう。そうしたニーズのため、欧州や日本での債券運用能力を高めている」との成長戦略について述べている。

 これは、世界的なカネ余りを背景に活況を呈していたグローバルな投資戦略から、自国資産を選考する傾向(=ホームバイアス)が強まるとの読みであり、日本のような経常黒字国にとっては必然的に通貨高圧力が高まることを意味する。

 こうした状況下、米財務省が昨日発表した4月のTIC(対米証券投資状況)によれば、外国の政府と投資家が長期証券投資を通じた対米資本流入額は466.78億㌦(事前予想は675億㌦)と、3月の703.82億㌦から大幅に減少している。 また、4月の買い越し額は同月の貿易赤字額634.30億㌦を26%も下回っており、ピムコが想定するように海外投資家が自国資産を選考する傾向を強める場合には、ドル安圧力が高まることになろう。

 本日は米1-3月期の経常収支の発表が予定されている。 バーナンキFRB議長は昨日の講演後の質疑応答のなかで、「米経常赤字は持続不能」との認識を示しており、改めて市場の関心がグローバル・インバランスに向かう可能性も念頭に置いておきたい。

(6月16日 11:25記)

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この記事へのコメント

素人ストラテジスト
2006年06月16日 15:01
昨日は丁寧なお返事ありがとうございました、このブログは人気があるようですね、高品質のデーター・分析を無料で公開してらっしゃるので当然なんでしょうね。これからも忘れずにチェックします、よろしくお願いします。
mori
2006年06月16日 15:11
ありがとうございます。

こちらにアクセスして下さっている個人投資家さんは、為替取引の難しさや奥の深さをご存知だから、自分で考える情報を求めていらっしゃるのだと思います。

絶対的な情報はあり得ないですが、少しでも分析精度を高められるよう努力していますので、これからも覗きに来てください。
素人ストラテジスト2
2006年06月17日 00:06
今回のドル急落による「質への逃避」について、2001年の9.11後とは違う状況に思う、もちろん規模的に今の段階では小さいという事もあるが、当時も「新興国から先進国」「高イールド商品から債権」「為替リスクを避け本国」というような資本の移動は勿論同様なのでしょうが、今回はおもにHFの信用割れ(ドル換算)に始り、利益が出てるポジションは軒並みクローズされ、次にドルの水準がどこいらに落ち着くのかがFRBのアナウンスメントが2転3転したので、またBOJが最短6月にもゼロ金利解除の勢いだったので円キャリーを慌ててクローズしたとこは馬鹿をみたし、出遅れたとこは結果OK?混乱しているだけで傷んでいるとこはあまりないのでは、だからドルの方向性が見えてきてBOJの金利が見えてきて贅肉部分をおとし許容与信の目処がつけば高イールドの市場にお金は戻るし巨大赤字で高リスクのドル資産は遅からず流出すると思いますし、隠れている莫大な円キャリーは怒涛のようにもどってくるのではと思います。今日も素人分析を長々失礼しました、自分勝手な希望です@@
mori
2006年06月17日 00:23
ありがとうございます。

 今回の世界同時株安は過去のそれと異なって主要各国当局は極めて冷静だったことが挙げられます。(株安が進展する中で利上げをしています)
それは、様々な歪みや行き過ぎを招いた世界的なカネ余りを正常化する過程で発生した必然的な混乱であったからだと思われます。
問題は過剰流動性収縮のスピードということになりますが、日銀の動きが福井スキャンダルにより読めなくなっており、足元では円安バイアスだけが残ってしまっています。
福井総裁は海外勢から信認が厚かっただけに、この問題が相場を一層読みづらくしており、しばらく気迷いムードの展開が続くかもしれませんね。

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