FRBインデックスは歴史的な安値圏にあらず!?

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 本日お昼に届いたお客様からのメールに、『FRBインデックス』は歴史的な安値圏に接近しているため、現在のドル下落は最終局面とみてよいですか、との質問がありました。

 『FRBインデックス』は、FRB算出するドルの代表的な実効為替レートです。 私はこのデータを15年以上に亘って使って参りましたが、日本のメディアやアナリスト等が一般的に使っているのは、主要通貨を対象とした「Major Currencies」です。

 チャートが示すようにMajor Currenciesは、2004年12月に付けた史上最安値80.11に急接近しています。この当時は柔軟な為替変動の必要性で合意した『ドバイG7』(2003/09)から続くドル安基調の中で、最安値更新に至っています。 しかし、FRBインデックスにはたくさんの種類があり、「Major Currencies」と同じ名目実効レートの中には「Broad Currencies」と「Other Important Currencies」があります。

 ドバイG7やワシントンG7で問題視されてきたのは、中国など為替変動の柔軟性に乏しい「Other Important Trading Partners」です。 
 2002年以降のこれら3種類のFRBインデックスを比べると、一目瞭然で「Other Important Trading Partners」がドル高にとどまっています。2005年の米経常赤字は史上最大の8千億㌦を突破し、対GDP比では7%とドル波乱の臨界点とされる5%を大きく上回っています。プラザ合意の時の比率を倍以上も上回っており、歴史的なドル安水準へドルが下落したとしても不思議ではありません。

 特に日本の場合は、中国などアジアに進出した現地法人がこれら国々の通貨安の恩恵を受けて対米黒字を拡大しています。さらに、日銀が毎月発表する「円の実質実効レート」は、プラザ合意直後の85年10月以来の円安水準に位置しており、90年以降の平均レートから18.48%もの円安乖離が生じています。

 つまり、円は十分な円高余地を有しているという解釈になり、現段階がドル安・円高の最終局面と決め付けることは出来ないと考えています。

 これに対して『ユーロ』の場合は、ECBが毎月発表する「ECBインデックス」は、90年以降の平均レートを約2.9%程度上回る水準に位置しており、ECB幹部が指摘するように均衡レートにあるといえます。

 こうした状況も勘案した上で、現在の市場テーマやポジションの偏り具合等も含め、持続可能な相場トレンドの方向性を見出していただければと考えています。

 尚、FRBインデックスの選挙年のシーズナル・サイクルでは、6-7月に年間のドル安局面を示現することが多いことを示しています。 つまり、これから年間で最大のドル安圧力が強まる局面を迎えるということであり、想定されるイベント・スケジュールでは、①FEDの利上げ打ち止め、もしくは利上げが行き過ぎによる金融危機の表面化(米市場のトリプル安)、②スノー米財務長官の更迭(6月頃?)、③ECBの連続利上げ&日銀のゼロ金利解除、――なども判断材料として加えておきたいですね。


追伸
FRBインデックスに言及された方は現役のファンドマネジャーとのことで、今回のドル安局面では下落は一時的としてドルロングポジションをずっと保持されているそうです。
低レバレッジの長期スタンスということなのでしょうね。
でも、4月半ばからのドル下落局面を収益機会として活かすことができず、逆にその間のドル安・円高によって含み損を抱えるというのはプロとしてどうかと思います。
私たちの年金がこうかたに運用されないことを願っています。(笑)

(5月16日 13:40記)



昨日のコメントに対して数人の市場関係者から連絡がありました。
共通認識としては、プロとしての真価が問われるのは、相場が上手くいっているときではなく、曲がった時のリスクマネジメントであるということでした。
「ドル下落は最終局面」―――下がった相場は必ず上がるため、そう言い続ければいつかは上がるでしょう。しかし、プロの意見として参考にした個人投資家さんが先の見えない下落に耐えられるかどうか・・・。今回の件では、自身の相場観に固執し続けることではなく、市場動向に応じた適切なリスクマネジメントであるということを再認識させてくれました。

(5月17日 07:35記)

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