FRB議長交代を境に急浮上したインフレ高進の芽と米長期金利の上振れリスク!? 

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 先週最大の注目イベントであったFOMC(01/31)では、通算14回目となる25bpの利上げが全会一致で決定され、FFレートの誘導目標は年率4.50%へ引き上げられた。
 焦点のFOMC声明は、金利正常化の象徴でもあった「慎重な(measured)」が削除され、追加利上げについて「必要になるであろう(likely to be)」から「必要になるかもしれない(may be)」へとトーンを弱めたが、引き続きエネルギー価格や労働市場の逼迫がインフレ圧力を高める可能性があるとの懸念が示されたため、追加利上げは今後の経済指標次第と受け止められた。

 こうした状況下で発表された米1月の雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が前月比+19.3万人と事前予想の+25万人を下回ったが、年次改定により昨年11-12月分が合計8.1万人上方修正された。
 また、1月の失業率は4.7%と前月の4.9%を下回り、2001年7月以来の最低となった。 エコノミスト等によれば、5%を下回る失業率は、インフレ警戒水域とされている。 事実、1月の平均時給は前月比+0.4%、前年同月比では+3.3%と、労働需給引き締まりに伴って上昇基調にあり、FOMC声明が懸念したインフレ圧力を高めている。

 市場が懸念したのは米雇用統計の前日に発表された10-12月期の労働生産性が予想外の5年ぶりマイナスに陥ったことと、単位労働コストがこの1年で最大の伸びとなったことである。何故なら、グリーンスパン前議長が、コアCPIの安定などインフレ沈静の要因として労働生産性の上昇を論拠としてあげていたからにほかならない。

 ここに米失業率の低下に伴う賃金インフレの芽が加わったわけであり、市場の短期金利見通しを反映するFFレート先物市場では、次回3月の追加利上げの確率を88%、さらに6月FOMCで5.00%へ引き上げられる可能性を58%も織り込んでいる。

 米株式市場は、インフレ高進に対する警戒や金利先高感が嫌気され大幅続落している。 米債券市場も売りが先行して始まったが、02/09の4年ぶりに発行が再開される30年債入札を控え、発行日前取引での強い需要から一転して買いが優勢となった。

 確かに、急速な高齢化に伴い海外の年金基金などからの強い需要が見込めることや、春節明けの中国が米国債の買いを再開するとの観測もあるが、インフレ動向に左右される10年債利回りは4.53%とFRBが2004年6月に利上げに踏み切った時点の4.74%を依然として下回ったままである。 

 FRB議長の交代を境に急浮上したインフレ高進の芽が、米長期金利を上振れさせることなく摘み取れるかどうか、バーナンキ新議長に与えられた最初の試練となるかもしれない。 
市場が“Behind the curve”(インフレ対応で後手に回る)と判断すれば、容赦ない長期金利の急騰とドルの急落を招いたことは歴史が教えてくれている。

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