注目すべきは拙速な“トレンド転換説”よりも季節要因的な“円ショート・カバー”一巡後の展開に!? 

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 過去3ヶ月に亘って持続した円安トレンドが一変して大幅な調整安を迫られている。
 先週1週間の変動率は、NZDJPYの▲5.81%を筆頭に、AUDJPYが▲5.01%、CADJPYが▲4.29%、USDJPYが▲4.15%、CHFJPYが▲3.20%・・・と続き、軒並み今年最大の下落率を記録している。

 いずれも、12月第2週以降に年初来の円安水準を更新したばかりであり、急激な円高への揺り戻しで市場センチメントも大きく悪化しており、一部では早くもトレンド転換を指摘する声も出始めている。
 しかし、タイミング的にはFOMCや日銀短観といった日米の重要イベント終了に伴う材料出尽くし感が、クリスマス休暇前や海外勢の年末決算と相俟って手仕舞い相場に拍車を掛けたとみられ、これまで同様に騰勢を続けてきた金や日本株も全面安の展開となっている。

 ドル安・円高方向への基調転換を示す最大の根拠となっているのは、HIA(米内国投資促進法)の終了とFRBの早期利上げ打ち止め観測であり、市場の関心が再び米国の双子の赤字問題に向かい始めるというものである。

 まず、HIAについては、米10-12月期の納税日となる12/15を以って終了するとの観測があり、これまでのドル高要因の一つが剥落することになるが、米財務省が12/15に発表した10月のTIC(対米証券投資状況)によれば米国への長期資本流入額は1,067.9億㌦と2ヶ月連続で過去最高を更新しているのが実情である。
 つまり、全世界から膨大な米貿易赤字を埋め合わせるだけの潤沢な資金流入が続いていること示しており、FRBによる実質政策金利のマイナスやドルの過剰流動性が広範なドル安を促した昨年までとは市場環境が異なっていることを再認識する必要がありそうだ。

 そして、FRBの早期利上げ打ち止め観測については、11月のFOMC議事録(11/22)で「利上げ行き過ぎ」や声明の表現変更の可能性が議論されたことが明らかになった時点から燻っており、FFレート先物市場では利上げ期待値がすでに低下傾向にあった。

 今回の12月FOMC声明では、「緩和的」との文言が削除され政策金利が「中立水準」に達したとの認識を示したが、「(失業率低下など)資源利用率の上昇がインフレ圧力を高める」という新たな文言が挿入され、「慎重な引き締めが必要になる」とむしろインフレ警戒を強めている。
 グリーンスパンFRB議長は、議会へ宛てた書簡(11/28)で「中立金利」の概念は金融政策を決定する上で特に有用ではないとの見解を示しており、今後発表される米景気指標次第では行き過ぎた利上げ打ち止め観測の修正も想定されそうだ。

 こうした観点から注目すべきは、拙速な米利上げ打ち止め観測ではなく、むしろ季節要因的な“円ショート・カバー”一巡後の展開といえそうだ。

(12月19日 00:45記)

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