実務者のドル買い・円売りポジションが盲目的なのか市場関係者の認識が盲目的なのか!? 

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 「盲目的に円安方向を信じてドルの買い持ちポジションを増やす参加者が増えている市場には、ゆがみも生まれている―――」 

 これは11/01付けロイター記事・クロスマーケットに掲載された大手邦銀国際為替部調査役のコメントである。 
 ここで指摘されているドル買い・円売りポジションとは、99年5月以来の過去最大規模に膨らんでいるIMM通貨先物市場の投機勘定を指しており、同氏は「健全な調整がなくマーケットにゆがみが生じている状態にあり、問題はそれがいつはじけるかだ」と指摘している。

 IMMファンド筋のポジション動向については、ここ4-5年の間に多くの市場関係者が取り上げるようになったが、そのメカニズム等について正確に理解されていないまま活用されていることに危うさを感じる。
 同氏がどういう意図で「盲目的なドル買い・円売りポジション」と表現したかは理解に苦しむが、USDJPYは108.75円(09/05)を起点に先週末のNYタイムでは一時118.35円と9.60円(+8.82%)のドル高・円安が進展しており、実際には相場トレンドを的確に捉えたポジションとなっている。

 そもそも「通貨先物市場」が何の目的で創設され、活用されているのかを正確に把握する必要があろう。 その最大の目的は①Price Discovery(公正な価格形成)と②Price Risk Transfer(変動リスク回避)であり、米国においては投機勘定(=一般勘定)においても“ヘッジ目的”の売買が行われることが多い。

 そしてIMM通貨先物市場でドル買いポジションが拡大し、なお高水準のポジションが維持されている最大の要因は、ドルを取り巻く市場環境の変化が挙げられよう。

 それは、ドルの過剰流動性相場の終焉を意味するFRBの累積利上げである。
 FRBは、11/01のFOMCで12回目となる25bpの利上げを全会一致で決定し、FFレートの誘導目標を4.00%へ引き上げた。
 FOMC声明は、「緩和的な金融政策を慎重なペースで解除できる」とこれまでの表現を踏襲し、利上げ継続を示唆している。
 FFレート先物市場では、来年1月末のFOMCで4.50%に引き上げられる可能性を90%織り込んでいることを示している。

 基軸通貨ドルの政策金利が昨年6月から合計300bp引き上げられ、さらに金利先高観が広がっている状況下では、各種ヘッジ取引のドル買いポジション構築の動きが拡大しても不思議ではない。 
 そうした場を提供しているのが通貨先物市場であり、決して盲目的なドル買いポジションと扱うことはできない。

 先週末の東京市場では、日経平均株価が約4年5ヶ月に1万4千円台に大幅続伸する一方で、USDJPYは117円Highのドル高・円安を示現した。昨年後半に活発化した「株高=円高」とは異なり、「株高+円安」の共存であり、これはドル金利上昇に伴う為替ヘッジ比率の拡大が指摘されている。

 IMM通貨先物市場では、こうした日本株買いに伴う為替ヘッジ目的のドル買い・円売りポジションも積み上げられており、FRBの金融政策スタンスと実に整合的なポジションであることを再認識する必要があろう。

(11月6日 22:40記)


誤字がありましたので、1箇所訂正しました。
政策⇒正確   (11月7日 16:18記)

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