「実質政策金利」格差が大勢での通貨序列の優劣を決定付ける要因に!?

 先週の『森レポート』では、世界同時株高と米トリプル高を促している要因としてグローバルな脱ディスインフレ下の過剰流動性を指摘したが、外為市場では金利格差を背景とする二極化が一段と鮮明になり、「ゼロ金利・円」が独歩安の様相を呈している。 

 先週は今月1日に開催されたFOMCの議事録が公表され、そのなかで一部の委員が「利上げ行き過ぎ」リスクに言及していたことや、金融政策見通し(声明文)の文言変更の必要性について議論していたことが明らかになり、米金利先高観の後退に拍車が掛かった。 

 米長期金利の指標となる10年債利回りは、11/22には4.431%へ急低下する一方、米株式市場ではNASDAQとS&P500が2001年来の高値水準へ上昇した。
 外為市場では、米金利先高期待の後退を受けてドル売りが誘発されたが、ドル高基調転換には至らず、売り一巡後は堅調を取り戻した。

 それもそのはず、FOMC議事録は「ハリケーンの被害による経済活動の混乱は限定的、一時的なものにとどまるという証拠が増えてきた」との見方で一致しており、「ハリケーン直撃後も米経済の底堅い成長が持続し、復興需要が景気を刺激する可能性もある」との判断が示されていたからである。
 市場の短期金利見通しを反映するFFレート先物市場では、来年1月末のFOMCまでの2回の利上げにより4.50%へ引き上げられる可能性を80%織り込んでいる。

 一方、ユーロ圏ではECBが12/01開催の定例理事会で5年2ヵ月ぶりの利上げに踏み切る見通しとなっているが、トリシェ総裁は金融緩和策の一部解除と位置付け、継続的な利上げ局面入りを否定する発言をしている。
 このため、EURIBOR(欧州銀行間市場金利)の3ヶ月物金利から1ヶ月物金利を差し引いた「利上げ期待値」は、11/21時点の0.160%をピークに一時0.125%へ急降下するなど、利上げが単発に終わる可能性を織り込んでいる。

 こうした状況下、国内では緊急避難措置として導入された量的緩和金融解除の「後ズレ」観測が急速に高まっている。 
 11/24に公表された日銀金融政策決定会合の議事要旨(10/11-12開催)が、与党と日銀の脱デフレ解釈を巡る認識ギャップを明らかにしたほか、政府要人から相次ぐ早期量的緩和解除をけん制する発言が(量的緩和解除後の)「ゼロ金利政策」の長期化を彷彿とさせている。

 この点については、政府の財政再建に向けたポリシー・ミックスをテーマに改めて詳細を採り上げるが、日本では量的緩和解除後に実質政策金利のマイナスが始まることになり、主要各国中銀が金融緩和策の正常化に向けて動き出す中で実質政策金利格差が一段と鮮明化する可能性は留意しておきたい。

(11月27日 23:40記)

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