“Trend is your friend”――― これがシカゴの仲間の口癖だった!!

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  10月第1週は、緩やかながらドル全面高の展開で始まった。
 この日は、日米欧で企業景況感(日銀短観、ユーロ圏製造業PMI景気指数、英製造業PMI景気指数、米ISM製造業景気指数)を示す重要指標が発表されたが、原油価格高騰に伴うマージン・プレッシャーの増大という逆風にもかかわらず、いずれも改善を示す良好な内容であった。

 ただ、市場センチメントがドル高に傾斜する状況にあっては、結果が示す通り一段のドル上昇を促している。
 これら企業景況感の改善を受けた市場の金利見通しは、TIBOR先物金利は09/30をピークに反落、EURIBOR先物金利は来年6月の25bpのECB利上げを織り込み始め、FFレート先物は12月までに合計50bpの利上げを80%の確率で織り込んでいる。

 日経金融新聞の今週の「円」ブルベアでは、「円強気」がわずかながら「円弱気」を上回っていることに驚かされた。
 ドル安・円高を唱え続けている為替アナリトは、米利上げ打ち止めを根拠の一つに掲げているが、FRB議長も重視するFFレート先物市場での金利先高見通しに対してけん制するどころか、むしろ一段の利上げを織り込ませようとする発言が相次いでいる。
 この日も、アトランタ地区連銀グイン総裁は、「利上げはまだ先がある」と語っている。
 FRBの累積利上げはすでに275bpに達しており、さらなる利上げとドル過剰流動性の収拾というパラダイムシフト(環境の変化)が、予想外のドル高を促していく可能性には留意したい。

 USDJPYは、昨日のNYタイムで一時114.38円まで続伸し、柔軟な為替変動の必要性で合意した『ドバイG7』(2003/09)前の115円という重要な節目に接近したことから、早くも“戻り売り”を推奨するようなストラテジーが出回っている。

 まさか、大天井を売ろうとしているのか、天井というのは振り返ってからはじめて分かるものではないのか。
 確かに、108.75円(09/05)を起点とするドル高は、押し目らしい押し目を形成することなく水準を切り上げており、高値警戒感は存在している。

 しかし、高値警戒感は2日も同水準で揉み合えば自然に解消されるものであり、高値警戒感という値頃感だけで売り向かうのはリスクが大きくといえよう。
“Trend is your friend”―――シカゴの仲間の口癖であったが、売り向かうのは、明確な売りシグナルや天井形成の兆候が現れてからでも決して遅くないだろう。

 外為市場で投機的な売買動向を見る際の指標となるIMMファンド筋の『日本円』の持ち高は、ネットで59,066枚の売り越しと3週連続で円ショート・ポジションが拡大している。(参照:『森レポート』P.5-6)
 市場への影響度を示すネットポジションの取組高占有率は、42.63%と2001年1月以来の最高に達しており、最新の総取組高がなお増大中であるということは、市場は現在の相場トレンドを追認しているということにほかならない。

 USDJPYが111円台に乗せてきた09/21のコメントでは、行動ファイナンスの観点から“値頃感のジレンマ”として、「値頃感から111円Highの水準を“高い”と判断して買いを躊躇する投資家も、実勢相場が112円Highへ上昇してしまうと、112円Lowでも買いたいと考えるものである」と書いたが、すでに実勢相場は114円台である。
 つまり、根拠のない値頃感が収益機会を喪失させるばかりか、最悪のパターンは売り向かうことで損失を被る結果となっているのである。

 それではこんな高い(?)水準から誰が買うんだ?と突っ込まれそうだが、USDJPYが2003年9月以来の新ステージに突入しようとしており、市場関係者であれば機械的なヘッジ外しのドル買い戻しが加速する可能性は認識しているはずである。

 例えば、国内大手生保などフルヘッジ型の外債投資を長期化させてきた資本筋のヘッジ外し(ドル買い戻し)である。 
 米短期金利の上昇やドル高進展に伴い、ある段階から急速に各種ヘッジ取引が逆回転し始めるのは、過去の大相場では必ずみられている。
(⇒このほか為替需給分析データをもっているが、別の機会に取り上げることにする)

 一方、テクニカル面でも少し見方を変える必要があろう。
 今週の『森レポート』P.7では、「根拠のない値頃感を排除するために、“トレンド重視”の視点から中長期のチャートを眺めるように心掛けたい」と書いたが、大勢トレンドを見失わないように努めることが重要となってこよう。

 先般取り上げたUSDJPYの『価格帯別の滞留日数』は、シコリの少ない“真空地帯”を駆け上りつつあることを示している。

 また、相場予測の手法の一つに年間変動率・変動幅という考え方があるが、USDJPYの場合は直近5年間の平均変動率が13.87%、平均変動幅が16.01円となっている。
 今年も残すところ今月を含めて3ヵ月となるが、変動幅は12.71円と過去最低水準をつい昨日の上昇で脱した。

 ただ、添付した表が示す通り「米大統領選の翌年」(ピンク表示)はいずれも変動幅が平均を上回っていることに注目したい。
 つまり、これを“上振れリスク”を喚起するデータとして受け止め、少なくとも過去5年の平均変動幅をドル高方向に単純にあてはめた場合の117.68円(=101.67+16.01)は念頭に置いておきたい。

 今年はドバイG7前の2000年~2002年の年後半に見られた“反発パターン”を踏襲する可能性も出ているため、大勢トレンドを見失わないよう流れに乗っていきたい。

(10月4日 10:50記)

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この記事へのコメント

フェレンギ
2005年10月04日 20:10
どうも、今晩は。
義憤に溢れたコメント、全面的に同意です。
本当に世のストラテジスト・アナリストはちゃんとした分析をして欲しいと思います。
私はここを知っていますので全然構わないのですが(笑
>今年はドバイG7前の2000年~2002年の年後半に見られた“反発パターン”を踏襲する可能性も出ているため、大勢トレンドを見失わないよう流れに乗っていきたい。

これも同意です。
115円ブレイクがその前奏になると思います。

mori
2005年10月04日 20:40
 こんばんは。
 最近のコメントはちょっと偏っているのかなと反省しつつ、正直な気持ちを書いているつもりです。
 上がった相場はいつかは下がりますが、今はその時ではないと考えています。
 ラマダン入りでテロリスクも高まっていますし、今週末は日米3連休入りというタイミングでもあり、持ち高調整も想定されそうですので、常にシートベルトの着用は忘れないようにしなければなりませんね。
 頑張って参りましょう。

PS. 先程まで為替ラジオのケイトさんと六本木で食事をしていました。久しぶりの“グリーンカレー”最高でした。
moris
2005年10月05日 08:37
本当にドルを売りたい向きは、
実は、出ていませんよ。
皆、待っています。まあ、期近の必要最低限度は出しているようですが。
相乗効果を待っているのらしいのです。
さあ、それは何でしょうかね。
mori
2005年10月05日 08:51
 なるほど、相乗効果ですか。
輸出は焦ってドル売り予約に出る水準ではないですからね。今は輸入さんが焦っている状況ですね。
 とにかく、“潮目の変化”を見過ごさないようにと日々あらゆるデータをチェックしているところですが、どうやら米国内で負のエネルギーが溜まってきているに受け止めています。
moris
2005年10月05日 10:44
その方がいいと思います。
ドル高、もしくは円売りに時間をさらにかけている最近のメディアの報道振りも気になっています。
また、外人はそれほど熱くはなっていません。
日本人側だけが、熱くなっています。 こういうときは、私は、完全にニュートラルですよ。
なにせ、ごり押し相場になっていますので。

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