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help リーダーに追加 RSS ドル急落のリスクシナリオとドル高継続のベストシナリオ

<<   作成日時 : 2005/10/14 11:24   >>

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  USDJPYは昨日のNYタイムで一時115.10円へ続伸幅を拡大し、2003年9月19日(⇒「柔軟な為替変動の必要性」で合意したドバイG7が開催された日)以来のドル高・円安水準を示現した。

 当時、115円処を割り込むと“世界が変わる”と言い続けていたわけであるが、実際に115円処がブレイクされたのは2003年9月18日であり、一時114.75円まで下落したドルはその日のNYクローズで115.25円に戻り、翌日9月19日には115.50円まで上昇してしまったのである。 

 当時、筆者が所属していた証券会社の掲示板には「115円を割り込んでも世界は変わらない」などと突っ込まれてしまったが、ドバイG7明け9月22日は早朝から“ギャップダウン”して始まり、東京タイム9時には112.13円へ急落してしまったのである。

 あれから2年1ヶ月弱を経て、ようやく115.10円を付けるに至った。 (⇒今週のUSDJPYのストラテジーであった113円Midの買いポジションは、114.93円で利益確定している。)

 115円台での滞空時間は短かったものの、115円台に乗せたという事実と、引き続き114円台を維持していることを重視すれば、現状は「過去2年間のドル安進展に対する修正局面」に位置するとの認識をさらに深めることができよう。

 今朝の日経新聞マーケット総合1では、“米ドル相場、「財政」「金融」セットで上昇”とポリシー・ミックスによるドル高を指摘し、日経金融新聞のBOJウォッチャーでは、“量的緩和策のポートフォリオリバランス効果”を取り上げている。

 これら要因は筆者も指摘し続けてきたことであるが、相場という生き物は天邪鬼で、“ある一つのテーマ”を持った相場の終焉は、多数派がそのテーマに基づいてポジションを大きく傾斜したときに始まるのである。(⇒現状ではドル安論者の著名ストラテジストの多くが宗旨替えしている)

 こうした基調転換の背景にあるのが、逃げ足の速いファンド筋の存在であることを留意しておく必要がありそうだ。 

 現状では、IMM日本通貨先物市場の総取組高も増加基調を維持しており、膨大な円ショート(ドルロング)を抱えている割にはポジション的な過熱感は9月末時点から低下している。
 市場エネルギーのバロメータである総取組高が増加し続けている間は、現在のドル高・円安トレンドを追認するものと解釈しておきたい。

 但し、ここで敢えてドル急落のリスクシナリオを提示するならば、それはFRBがインフレ対応で“後手に回った”と判断される場合であろう。

 これまでFRBはITバブル崩壊後の米国経済を支え続けてきた住宅ブームなど局地バブルの沈静に向けて、“慎重なペースでの金利正常化(利上げ)”を実施してきたが、現状ではカトリーナ来襲と政府支出拡大いう大誤算により、インフレ抑制へと政策スタンスの変更を余儀なくされている。

 昨年6月のFOMCを起点とする累積利上げは275bpにも達しているが、市場での金利先高観はむしろ強まっており、FFレート先物市場では来年3月までに計75bpの追加利上げの可能性を92%織り込んでいる。(⇒FFレートは現状の3.75%から4.50%へ上昇)

 こうした状況下、FRBがインフレ対応でさらなる“大幅利上げ”に追い込まれる事態となれば、金融資産市場や住宅市場への影響は免れず、過去の米利上げ局面と同様に金融危機(⇒85年のブラジル危機、89年の米銀行破たん、94年のメキシコ危機、98年のロシア・アジア危機など)を引き起こすリスクが意識されてくる。

 昨日発表された米9月輸入物価は前月比+2.3%と、約15年ぶりの伸び率となりインフレ圧力の拡大が一段と顕在化したが、本日の米9月CPI(消費者物価指数)でも総合指数で前月比+1.0%と90年1月以来の伸びが予想され、注目のコア指数についても前月比+0.2%と伸び率拡大が予想されている。

 一部のアナリストからは、本日のCPIでインフレ懸念が示されれば、金利先高観からドルが一段と買われるとの見通しが示されているが、事前予想以上のインフレ高進リスクを示す内容となれば、ヘッドラインに反応して短期筋主導でドルが買われたとしても、次の瞬間はカウンターの売りを浴びることになろう。

 ドル高基調を維持するためのベストシナリオは、マイルドなインフレ率が絶対条件であり、FRBがこれまでの慎重なペースによる利上げスタンスを崩さないことであろう。

(10月14日 10:55記)


追加コメント
 日足チャートに記した『上昇チャネル』の下限(=上昇トレンドライン)理論値は本日113.44円処に位置しており、同水準を割り込まない限り弱気に転じる必要はないと考えられる。
 ただ、昨日のUSDJPYの高値が1時間足でみたエリオット波動のD波のターゲットとなる115.03円処(=113.02+2.01)を達成した後に反落しており、小勢での上昇波動が終了した可能性は念頭に置いておきたい。 

(10月14日 14:10記)

FRBの累積利上げが375bpになっていましたので、275bpに訂正させて頂きました。
大変失礼致しました。
(10月15日 10:05記)

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コメント(7件)

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本文に追加コメントさせて頂きました。
mori
2005/10/14 14:14
どうも、こんにちは。
遂に、115円台顕示となりましたね。
世界が森さんの後を辿ってきているといった感じですね。

今日のコメントは、一旦調整があるかもしれませんよ、気をつけましょうと言うニュアンスが漂っている印象を受けました。
確かに既に、陽線14本、調整もあって然るべきと言われても不思議ではありません。
しかしながな、森さんが文中指摘しているように、115円オーバー後、急落なるも114円台Midしかも、今晩の指標もドル底支え要因になりえるものです。
このまま、調整無しに115円台定着もありえる足場に今だドル円は居ます。


フェレンギ
2005/10/14 17:19
これは、私の経験則になりますが、通貨市場の年末は12月第一週と認識しています。
時間的な余裕としましては、後6週程度しかファンド筋には残っていません、今年のファンド筋の成績が状態は掴めませんが、最後の仕掛けをしてくるにはそろそろ時期ではないか?と思っています。
私は今週は一旦調整、来週より活発に動き出すのでは?と読んでいましたが、昨晩の115円乗せを見る限りち、既に始まっているのでは?とも見ています。

そろそろ、思惑筋の仕掛け時期です。
森さんは、どの様な見通しで見ていらしゃるでしょうか?
フェレンギ
2005/10/14 17:19
 こんにちわ
 ファンド筋にとっては現在のポジションは、米国の政策と整合的で最も居心地が良いはずですので、ポジション調整以上の動きは出ないと考えています。
 ただ、本日のコメントに書きましたようにインフレ阻止に向けたFRBの信認が維持されるかどうかにかかっていると思われます。
 こうした観点からは、今晩のCPIとRetailは極めて重要な指標となりますね。
 最悪のパターンは、スタグフレーション(景気停滞期のインフレ)であり、米国からの資本流出を意味します。
mori
2005/10/14 17:49
御返答ありがとうございます。
現状は心地よい状態なのですね、ファンド筋は

今晩のCPI・Retailの9時半には、注視します。

しかし、FRBには今のところ、不手際はしていませんよね。
マーケットの受け取り方は違うことがありますので気をつけます。
フェレンギ
2005/10/14 17:57
 グリーンスパンFRB議長にとっての心残りは、ITバブルを防げず、結果的に崩壊させてしまったこです。現状では「住宅市場のソフトランディング」が最後の仕事と位置付けられており、昨年6月から慎重なペースで利上げを行ってきたわけです。
 昨年11月の大統領選挙の真只中や今年5月のソフトパッチが懸念された状況下でも利上げを休止することはなかったわけです。
“Homeland Investment Act”(米内国投資促進法)も住宅ブームの沈静による家計への影響を軽微に留めるための時限立法であったわけですが、慎重なペースの利上げスタンスがインフレによって変更を余儀なくされると、金利先高観でドルが買える状況ではなくなります。
 カンザスシティー地区連銀の総裁は13日、「これまでのところインフレ期待が落ち着いており、FRBがインフレ阻止に失敗する恐れはない」と述べていますが、こうした発言が出るところに心中穏やかでないことを示唆しています。
ここからは慎重にいきたいですね。
mori
2005/10/14 18:16
本当に丁寧且つ、精度の高い解説、ありがとうございます。

そうですね、万全な状態でしたらカンザスシティー連銀総裁の発言はないですよね。
FRBとしても完全に成功するとは思っていないところが怖いですね。
考えてみれば、FRB議長は就任早々マーケットから手痛い洗礼を浴びせかけられることがありますから、グリーンスパン議長の次の方はこれが原因でマーケットの洗礼を浴びるかもしれませんね。

アドバイス通り、慎重を心掛けて進みたいと思います。
フェレンギ
2005/10/14 19:17

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