![]() 昨日のUSDJPYは、ついにテクニカル的に重要な114.48円処(38.2% of 135.20⇒101.67)をブレイクし、一時114.64円と昨年05/18以来のドル高・円安水準を付けた。 今から4週間ほど前に知人の市場関係者との情報交換のなかで、「USDJPYは中期的に115円以下の買いでもワークするんじゃないの?」などと冗談交じりで話していたが、今では現実味を帯びつつある。 この直後に発行した『森レポート』(09/19号)では、「USDJPY、NYクローズでの111.47円突破が追撃買いのシグナル!?」とのタイトルを掲げていたが、その後も行動ファイナンス論としての「値頃感のジレンマ」などを通じて“戻り売り”を唱えるドル安・円高論者をけん制し続けてきた。 結果論といえば結果論になるが、テクニカル分析だけに頼ることなく、ドル安が進展した昨年との市場環境の違いやポリシー・ミックス(政策の組合せ)を通じて論理的シナリオを提示するよう心掛けてきた。 さて、USDは昨年05/14の戻り高値114.90円を完全に射程圏に捉える水準に位置しているが、昨年同様に跳ね返されるかどうかは、当時との市場環境の違いを検証すれば自ずと答えが出てこよう。 最大の違いは米国の政策金利であり、当時の1.00%に対して現在は3.75%へと上昇しており、さらに昨日公表された9月FOMC議事録を見るまでもなくFRBの“インフレ警戒モード”により、FFレート先物市場では年内2回の計50bpの利上げを86%織り込んだうえで、来年1月末のFOMCでの4.50%への利上げも46%織り込み始めている。 基軸通貨ドルの短期金利が上昇することの意味合いは、改めて解説するまでもなく以下に示すような各種金融取引においてドル買い需要を高めることになる。 ★米短期金利上昇に伴う各種取引の変化がドル買い重要を高める ・ インターバンク等の短期資金の米国への流入を促す ・ 米企業の資金調達コスト悪化により海外利益の本国回帰を促す ・ 米投資家の対外投資の為替ヘッジ比率(=ドル買い)の上昇を促す ・ 海外投資家のドル債投資の為替ヘッジ比率の低下を促す ・ ヘッジファンドなどにとってレバレッジ・コストの上昇につながる ・ 運用サイドの無リスク資産リターンのハードルを高める ・ 「ゼロ金利・円」の調達通貨(Carry trade)としての魅力を高める ・ 投機筋のベース・ポジションのドルロング傾斜を促す USDJPYにとって115円処は極めて重要な水準であったことは週足チャートを見れば一目瞭然であるが、2001年9月の同時テロ直後の安値が115.80円(09/20)、2002年7月の米不正会計疑惑などの安値が115.50円(07/16)、2003年5月のFRBのデフレ警戒モードを受けた安値が115.10円(05/19)と、強固なサポート水準として機能してきたのである。 2003年当時、筆者はレポートやセミナー活動を通じて、「115円処が破られると世界が変わるため注意が必要ですよ」と繰り返し述べてきたが、2003年9月のドバイG7開催前に115円処が破られると、その後は今日に至るまで115円台に浮上することはできていないのである。(⇒世界が変わるということ) 今回の上昇局面で115円台に乗せてくる場合には、ヘッジ取引など膨大なドル買い需要の発生が見込まれていることから、逆に115円以下に下がらなくなる可能性が想定されてこよう。(⇒2003年当時の逆パターン) USDJPYの週足均衡表を見ると、昨年の戻り高値114.90円(05/14)は『雲の上限』で跳ね返されているが、現状では昨年6月の米利上げ開始から1年のタイムラグを経た今年5月に『抵抗帯』を突破しており、115円台乗せの条件は十分に整っているといえよう。 筆者の最近のコメントでは、敢えて米国の「ポリシー・ミックス」としてのドル高の重要性に拘ってきたが、昨日のスノー米財務長官の人民元に対する従来のコメントからの変化は、インフレ高進リスクが懸念される状況下でのドル安を望んでいないことを示すものであったと解釈することができよう。 「人民元の切り上げはそれほど需要ではない。市場の需給関係で元の価値を決めていくことこそが重要だ―――。」(スノー米財務長官) 今朝の日経新聞「マーケット総合1」には、大手邦銀アナリストの「FRBがインフレを強く懸念している時に、米政府の首脳からドル高懸念を連想させるような発言が出てくるはずがない」との指摘が掲載されているが、過去の経験則では「インフレ」「金融資本市場」が懸念される状況下では逆にドルのトークアップに動くことが少なくなかった。 仮に現段階で大幅なドル安が進展したらどうなるのか、米国がインフレ高進リスクへの対応で大幅利上げに追い込まれる事態になった場合、世界経済への影響は? 金融資本市場の動向などについて、想定されるシナリオを描いてみるのもいいかもしれない。 本日は日銀の金融政策決定会合の2日目が開催されているが、早期の量的緩和解除を示唆する福井日銀総裁の記者会見に注目が集まっている。 しかし、9月初めから日銀政策委員等が量的緩和解除に前向きな発言を繰り返しているにもかかわらず、為替市場では「円高」材料として反応していないのである。 「量的緩和解除=金利上昇」などと捉える向きは皆無であり、「ゼロ金利政策」への回帰に向けた一つ目のステップに過ぎず、現状ではこれまで“流動性のわな”に捕らえられ委縮してきた膨大なジャパンマネーが、一斉に動き始めたという状況であろう。 つまり、ここにきてようやく、量的緩和策が本来併せ持つポートフォリオ・リバランス効果が浸透し始めたという解釈になろう。 福井日銀総裁の最近の発言はやや“前のめり”な感も否めないが、総裁自身は「量的緩和解除」に前向きであっても「ゼロ金利解除」には慎重であることを念頭に置いておきたい。 また、詳細は改めて取り上げることにするが、カトリーナ後に米金融当局者だけでなく、日銀やECB当局者の発言も一斉にタカ派(インフレ警戒派)寄りで足並みを揃えていることは実に興味深い。 三極経済の中銀トップが、FRBに配慮してバランスを取るという観点からすれば見事に協調体制が築かれているということかもしれない。 (10月12日 10:50記) 『チャートの解説はこちらを参照』 |
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こんにちは。 |
フェレンギ 2005/10/12 15:12 |
ところで、現在ドル円は114.60p付近で最後の関所前に居る訳ですが、明日の貿易収支前までに115円のブレイクに至らない場合、調整に入るのでは?とも見ています。 |
フェレンギ 2005/10/12 15:16 |
こんにちわ |
mori 2005/10/12 15:50 |
えっ、押し目、調整無しですか? |
フェレンギ 2005/10/12 16:20 |
ストラテジーを構築する場合には、必ずリスクシナリオがなくてはなりませんので、現在想定されるリスクシナリオの一つを提示しておきましょう。 |
mori 2005/10/12 16:21 |
追伸: |
mori 2005/10/12 16:38 |
ご教授ありがとうございました。 |
フェレンギ 2005/10/12 17:01 |
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