有事が促す資本の母国回帰とポリシー・ミックスとしてのドル高政策の重要性!?   

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  先週発表された米経済指標では、8月のシカゴPMI景気指標が49.2と7月の63.5から大幅に低下し、景気判断の分かれ目となる50を2年ぶりに下回ったほか、8月のISM製造業景気指数も53.6と7月の56.6から予想外の低下となり、米製造業の業況縮小を通じて景気減速懸念を浮上させる格好となった。

 このあと発表された8月の米雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)が前月比+16.9万人と事前予想の+20万人を下回ったものの、6-7月分が上方改定され、年初からの増加幅が月平均+19.4万人と雇用拡大の目安とされる+15万人を上回ったうえ、失業率が4.9%と4年ぶりの低水準となり、雇用の底堅い回復基調を再確認する格好となった。

 米雇用統計発表前は、原油価格高騰や大型ハリケーン「カトリーナ」の影響も懸念され、ブッシュ大統領とグリーンスパンFRB議長による協議開催との報が“利下げ要請”との憶測を呼び、ドルは全面安の展開となった。

 市場の短期金利見通しを反映するFFレート先物市場では、FRBの漸進的利上げに対して“黄信号”が点灯している。
 グリーンスパンFRB議長が資産バブルへの警戒感を示した08/26時点では、9月および11月の連続利上げを確実視したうえで、12月には4.25%へ引き上げられる可能性を60%の確率で織り込んでいた。
 ISM指数発表後には、9月の利上げさえも66%の確率に低下し、年内の利上げ休止を織り込む格好となったが、米雇用統計発表後は70%の確率へと小幅修正されている。
 それでも年内3回のFOMCの内2回は“利上げ見送り”となる可能性を織り込んでおり、金利面でのドル優位は揺らぎつつある。

 ただ、FRBの金融政策が従来型の利上げと異なり、局地バブルの収拾などリスク管理政策に向けられているとするならば、利下げの可能性は低く、金融当局者から軌道修正的なメッセージが発せられることになろう。

 また、仮に消費者マインド悪化への対応で9月FOMCでの利上げがスキップされる場合には、ポリシー・ミックスとしてのドル高政策の重要性がクローズアップされることになり、「カトリーナ」の被害実態が明らかになるまで金融政策を補完することも考えられよう。

 一方、甚大な災害は一種の有事でもあり、こうした状況下ではリスク忌避的な資本フローである「キャッシュ化」「質への逃避」「ホームバイアス」を促すことになる。過去事例では、「阪神大震災(95年1月」や「米同時テロ(01年9月)」発生後には、数ヶ月に亘って当事国通貨が買われているが、保険会社の巨額支払いや企業および家計のリパトリ・フローの存在を挙げることができよう。

 特に米国では、年内を期限とする米内国投資促進法(Homeland Investment Act)の存在は大きく、米多国籍業による海外利益送金に拍車を掛ける可能性には留意したい。

(9月4日 22:30記)

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