理解しやすい円高解説・・・

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 ―――なるほど、銀行系の為替アナリストは円高方向を見てるんだ。
 今朝のモーニングサテライトでは邦銀為替アナリスト、そして日経CNBCでは外銀為替アナリストが、「為替市場は現在の“日本買い”の動きを織り込んでおらず違和感があり、期末の特殊需給が剥落すれば円高方向に修正される」、「米国が12月のFOMCで利上げ打ち止めとなるであろうことから日銀の“量的緩和解除”の動きを織り込み始める」―――など、非常に理解しやすい解説を繰り返していた。

 まず、“日本買い”の動きについては、「株高=円高」のロジックが通用する局面とそうでない局面があることを理解しておく必要があるのではないだろうか? 
 この点については、過去何度も取り上げているため解説は省略するが、市場環境によって資金運用サイドのスタンスが変わることを理解しておきたい。

 これとは別に、先週の日経平均株価はわずか3営業日で200円超の上昇を記録していたが、今朝財務省が発表した対内証券売買契約状況(週次)によれば外国人投資家は日本株を890億円売り越しているのである。
 また、シカゴCME日経平均先物のファンド筋のネットポジションは、9月第2週に大半のロングポジションを決済しているのである。

 現在の日本株を買っている海外勢は、円高差益狙いの短期筋と異なり、ペンションファンドやオイルマネーといった長期運用が主体となっている可能性には留意したい。
 あくまで、短期筋によるダブル・キャピタルゲイン(株高+円高)狙いの仕掛け的な動きを否定するものではないが、米短期金利上昇という市場環境の変化が“ノーリスク資産リターン”のハードルを高めているため、円高差益を目的とするストラテジーの妙味は昨年に比べて薄くなっているということであろう。

 次に、日米金融政策の方向性の逆転についてであるが、まずFRBの利上げの真の目的が何であるかを理解する必要があろう。

 循環的な景気サイクルやインフレ対応の利上げであったとすれば、外銀アナリストの分析のようにFFレート4.00%で打ち止めとする考え方もできるが、ドル過剰流動性に伴う(住宅など)局地バブルの収拾であるとの見方を堅持する筆者にとっては、イールドカーブ(利回り曲線)が正常化されるまでは漸進的利上げが続くものと観測している。

 また、日銀の量的緩和解除についても、量から金利への変更にどの程度の時間を必要とするのか理解できているのであろうか? 
 当然、「慎重なペース」による金融政策の正常化ということになり、為替マーケットがForward Lookingであってもゼロ金利がFFレートの逆転を織り込むには無理がある。

 円高に振れる要因があるとすれば、それは米国サイドの要因であると考えられ、そのヒントはこれまでのグリーンスパンFRB議長のメッセージにも盛り込まれているが、今週2回の講演の中でもやはり繰り返されていた。 
 この点については、然るべきタイミングをみて『森レポート』で取り上げることとしたい。

 以上により結論は、現在のUSDJPYは決定的な“売りシグナル”が点灯したわけではないため、敢えて弱気に転じる必要はないということである。 
 筆者の今週のストラテジー(BY@112円Low Profit Target:113.46円 Stop Loss:111.83円)は、すでに利食いのターゲットを達成しているが、弱気派のアナリストが宗旨替えをするまでは“押し目買い”スタンスを維持していきたい。 

 テクニカル的な観点からは、Fibonacci retrace(108.75⇒113.52)の23.6%で112.39円処、38.2%で111.70円処が健全な押し目の目処となるが、現在のマーケットは押し目すら与えてくれないところに面白さがある。

 USDJPYの『価格帯別滞留日数のグラフ』(2000年1月~)では、「113-114円」の価格帯が最も滞留日数の少ない“居心地の悪い”水準であることを示している。
 つまり、“居心地の良い”水準を模索して動き出すとの解釈になり、最大の焦点である方向性は“抵抗”の少ない方向ということになろう。

 本来は売買高データを使って分析する必要があるが、為替の場合は正確な売買高データの継続的な入手が不可能であるため、敢えて取引滞留日数を使っている。
 取引滞留日数が多ければ多いほど、売買的なシコリが多いという解釈になり、少ない場合は逆にシコリ的な抵抗も少なく、値が飛びやすいという見方につながってくる。

 グラフが示すように、「114-115円」「115-116円」の価格帯までは所謂「真空地帯」という位置付けであり、リスクは円高方向よりもむしろ円安方向にあるといえるかもしれない。

(9月29日 10:35記)

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この記事へのコメント

mori
2005年09月29日 11:01
 本日のコメントの中でUSDJPYがなかなか下がらない原因を書くのを忘れてしまいました。
 幾つも要因は挙げられますが、最大の要因は(値頃感で)ショートを抱える連中が下がるのを待っているからです。
 ショート・カバーが112円Midへの下落を阻む要因とすることができ、ショート不利・ロング優勢の典型的な上げ相場であり、最終的にはショート・スクイーズを誘発する上げを演じてクライマックスを迎えるというシナリオを描いています。
moris
2005年09月29日 14:49
お久しぶりです。
時々拝見しております。
ちなみに、インターバンクのポジションはかなり軽いですよ。ほぼニュートラルと考えています。
また、某TVのコメントも拝見しましたが、市場の意見はいろいろありますので、あえて批判論を展開するのはどうかと思いますが?
むしろ、ネガティブインディケーターがいれば、逆をいくというぐらいにしか参考にしていません。
私は、こう見ますけど、違った意見もあるのですね、というほうがまだよろしいかと思います。

かく言う私は、今は非常にニュートラルですよ。
何せ、需給に絡んだ動きが耳に入るものですから。
mori
2005年09月29日 15:31
 本当にお久しぶりですね。
一緒に仕事をしていたときが懐かしいです。
 本日はご意見を賜りありがとうございます。
 欧州圏をカバーする情報ネットワークがベースにありますから、あなたの見解は無視できませんね。
 本日のコメントは長期的な観点からのコメントを書く予定でしたが、NMSと日経CNBCで連続して円安懐疑論を展開されたため、敢えてこれまでの私の見方を書くことにしたわけです。
 私は決して円安論者ではないですが、市場環境とマーケットプレイヤーをみていると、昨年までとは世界が違うと感じています。
 
阪神ファン
2005年09月29日 16:19
いつも参考にさせてもらっています。
朝のマーケット番組は私も拝見しています。著名な方のコメントに対する違った見解が聞けるのは非常に有益であると考えています。
これからもこういうコメントを期待しています。
謎の勝負師
2005年09月29日 18:05
両巨頭、揃い踏みですか
うれしくなって書き込んでしまいました
うーん、インターバンクは
ニュートラルですか・・・
ドルロングと思ったが・・・

私は日経の上昇につられ
円ロングしてしまいました。
森さんに踏まれないように
がんばりま~す。

今の米の金利上昇は
少しネガティブな金利上昇の
ような気もしますが・・・
生意気な意見すいませ~ん

mori
2005年09月29日 18:27
 謎の勝負師さん、お久しぶりです。
 私もFEDの利上げは従来の良い金利上昇を促すものではないと考えいています。
 米住宅市場のブームはいずれ調整を余儀なくされると思われますが、それがいつどの程度の調整となるのか、次の市場テーマになると考えています。
 グリーンスパンFRB議長は、柔軟な米国経済はこの調整を十分吸収できるといっていますが、為替による調整を念頭に置いているはずです。 バブルは崩壊してはじめてバブルとわかるものであり、フロスと表現される現在の米住宅市場の局地バブルは重要なキーワードになりそうですね。
 「根拠なき熱狂か」96年12月のグリーンスパンFRB議長による警告は、4年後のITバブル崩壊という悪夢を未然に防ぐことは出来ませんでした。
moris
2005年09月29日 18:59
「根拠なき熱狂か」は、懐かしいですね。
この間、住宅市場に関して、『資産価格は多大なリスクテイクすれば必ず下落』という言葉は、個人的には引っかかっていますね。
 俗に言う一般購入者が、まだまだと舞い上がり始めたときが危険かと思います。日本はすでに味わっていますが、アメリカは経験ない上に、日本のことはほとんどきいたことがないでしょうから(?)、怖いですね。
 個人的には、アメリカ国内のそこ、ここでリスクが隠れている感じがしています。欧州筋は、この点を気にしているようですよ。まあ、考え方の相違かもしれませんが、杞憂で終わればよいのですが。
Toshi
2005年09月29日 22:11
何年ぶりですかW森さんのコメントが実現したのは。私は為替取引をスタートして6年になりますが、W森さんのセミナーやレポートで勉強させていただきました。
これからもお二人のコメントを期待しています。
フェレンギ
2005年09月30日 01:27
久しぶりのW森の実現に私も感激しました。
為替相場で長生きしている個人投資家のほとんどはW森講座で勉強した者ばかりと思います。
森さんの森インデックスを朝に読み、宗一郎さんに仔細な情報・解説を受ける。
当時は、当たり前と思っていましたが、非常に濃い、他の会社を見渡してもひまわりでしか受けられない゛特別な゛ことだったと実感しています。
今更ながら、ありがとうございました。

私はこちらの森さんの見通しに賛成で、堅調な下支えを受けたドルは年末に向けて高値狙いに入ると見ています。
やはり、高金利(4%は織り込まれてきていますね)に支えられた上に時限立法の本国雇用創生法の母国回帰の環境は今年の特有と見ていいと思っています。
紆余曲折はあると思いますが、年末120円台はあって然るべきと見ています。
mori
2005年09月30日 13:26
 Toshiさん、フェレンギさん
 ありがとうございます。
 かつてはダブル森として楽しく仕事をさせて頂きましたが、今は孤独に自宅のディーリング・ルームで黙々と作業(志事)をしている毎日です。
 ところでフェレンギさん、年末120円台は強気ですね。
 年間変動率の観点からは、120円台も十分考えられますので、念頭に置いておく必要はあるかもしれませんね。
 本日、日経CNBCに登場したベテラン為替アナリスト二人は異口同音に円高を予想しており、前者は円高論者で有名な外銀の方ですが「円高を祈っています」と神頼みになっていたところに、今の相場の難しさがあるのでしょうか?

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