FRBの漸進的利上げはイールドカーブ(利回り曲線)の正常化に向けてなお途上に!?   

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  米労働省が08/05発表した7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+20.7万人と事前予想の+18.3万人を上回ったほか、5-6月分がそれぞれ+12.6万人、+16.6万人へ上方修正された。 
 この結果、今年1-7月の月平均では+19.1万人となり、雇用拡大基調を裏付ける格好となった。
 一方、失業率が5.0%とインフレ警戒水域の境に位置し、平均賃金の予想以上の伸びが“賃金インフレ”を意識させる結果となった。

 7月の半期議会証言では、グリーンスパンFRB議長が“労働コスト”の上昇に言及し従来よりインフレ警戒を強めていたため、今回の雇用統計の強い結果を受けて金利敏感株がほぼ全滅で米主要3株価指数は続落し、米国債相場も大幅下落(=金利上昇)した。

 市場の短期金利見通しを反映するFFレート先物市場では、11月FOMCまで3回連続の利上げで4.00%に引き上げられることを織り込んだ上で、12月FOMCについては4.25%への利上げを58%の確率で織り込み始めていることを示している。

 こうした米金利先高観が、昨年6月からの累積利上げの重圧を増幅する形で米金融資本市場の圧迫要因となっているが、米金融当局による一連の利上げが従来の循環的な引き締め局面と大きく異なることを理解しておく必要がありそうだ。

 グリーンスパン議長は、7月の半期議会証言で『重大な不確実性』について言及したが、ITバブル崩壊(2000年)や同時多発テロ(2001年9月)後の緊急避難的な超低金利政策の正常化が至上命題であり、その副作用として醸成された米住宅ブームの局地バブルの収拾(⇒ソフトランディング)にある。

 FRBは、米景気拡大に伴う良い金利上昇を演出しつつ、慎重なペースの利上げを実施しており、9回目の利上げを実施した6月のFOMC声明では「金融政策スタンスは緩和的にとどまる」との文言を繰り返している。

 その真の狙いはイールドカーブ(利回り曲線)の正常化であるが、米10年債利回りは08/05時点では4.392%まで上昇しているが、依然として歴史的水準にとどまっている。

 2007年2月からは、1977年から発行した米30年国債が満期償還を迎え始めるが、当時の長期金利水準は7%台後半であり、海外勢を中心とする購入者のスムーズな借換えを行うためには、リスク(⇒『双子の赤字』など構造問題)に見合った相応の金利水準が求められることになる。 

 グリーンスパン議長は、昨年3月に日本の巨額ドル買い介入に終止符を打たせ、今年は中国の人民元制度の改革を促したが、介入資金に依存した不安定な米国債購入(⇒金利低下)をけん制したとすれば理解しやすい。 

 こうした観点からは、米国債相場はこれから正念場を迎えることになり、目先的にはドルにとっても相応の下落圧力が掛かることを想定しておきたい。
(⇒目先的には米金利先高観が必ずしもドル上昇につながらないことを示唆しているが、中長期的には民間資本による安定的な米国債市場への流入により持続的なドル上昇を促すことになろう。)

(8月7日 23:40記)

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